対話の効果を実感させるコンセンサスゲーム

 物理の授業の目的は「科学者になる」、目標は「科学的対話力の向上」と説明しても、生徒たちを納得させるのは少し難しいものがあります。そこで、「対話や話し合いが理解を深めるのに効果がある」と実感させる必要があります。このために私が毎回使っているのがコンセンサスゲームです。

  「月世界で遭難」「NASAゲーム」などと呼ばれる有名なコンセンサスゲームです。進め方の概略は以下の通りです。①遭難した状況の文章を読む。②必要な物品のリストに優先順位をつける。(ここまでは個人作業)③数人のグループで話し合ってグループとしての順位をつける。このとき大事なのが「一人が仕切らない」「黙っている人をつくらない」「多数決やじゃんけん等で決めない」などです。
  私はこれをワークシートにして使いやすくしました。上記の作業までをワークシートの表面にまとめたのが左のシートです。後半はその裏側につくってあります。下のワークシートがそれです。
  後半は次のように進めます。このコンセンサスゲームには解答があります。その解答を印刷して生徒に配布します。簡単な解説をしてからウラ面の分析をさせます。その手順です。④ウラ面のワークシートに「個人の答え」と「チームの答え」を書き写します。⑤解答の順位を所定の欄に書き写す。⑥「個人の答え」「チームの答え」と「解答」の差を計算し、その絶対値の和を出すと、「解答との距離(解答への近さ)」が数値として出てきます。
 その結果はすばらしいものがあります。大半の生徒の数値は「個人の答え」より「チームの答え」が正解に近づきます。そこで「というように対話や話し合いは正解に近づくとか、理解を深めるのに有効なんです。だから、物理の時間にはみんなの話し合いを重視した進め方をしましょう」と話します。生徒たちの感想も「話し合いが効果があるのがよくわかった」「もっと積極的に話をしようと思った」などが多く出てきます。
 このワークの出典は多すぎて明確にすることが出来ませんでした。ご存知の方がありましたら教えてください。私は以下のサイトを参考にしました。
「Akio's Log」(http://d.hatena.ne.jp/elwoodblues/20071119/1195464816)
尚、実際にお使いになるときのために、ワードのデータを添付しておきました。(a)ワークシート(両面分)、(b)解答と簡単な解説、(c)指導者のためのアドバイス です。教室でお使いになるときはあまり問題はないと思いますが、どこかで発表されるときは上記の出典とワークシート作成は「小林」をつけていただくのが良いと思います。
  更に。お使いになったら結果等をお知らせくださるようにお願いします。akikb2@hotmail.com
WS「月世界で遭難」.doc 直