オンライン研修会の質と講師料(2)

 【授業研究】昨日の続きです。教員向けのオンライン研修会が主流になるときに関わる問題点を考えています。第1の問題は講師料の問題、第2は講師のスキルであることを取り上げました。ここでは、第2の問題の補足をしながら第3の「研修会の質」について考えます。

 第2の講師のスキルはICTスキルは当然のことです。Zoomその他のソフトが使えることはこれからの講師には不可欠になりそうな気がします。しかし、それらの装置やアプリを使うにしても、ワンウエイの授業で話し続けるだけでは研修会の質の向上は期待できません。

 それが第3の問題としての「研修会の質」です。講師が「研修会の質」を高めるためにどんな考え方や方法やスキルを持っているかが、これまで以上に問われます。最近の私は次のような研修会を実施しています。まず、研修会を「オンライン反転授業」にしています。そのために研修会の数日前には事前視聴教材を送って、見てもらいます。実際にはyoutubeに限定公開して見てもらうことが増えました。

 その上で、研修会では「全体会」と「グループワーク」を組み合わせます。「全体会」では「質疑応答」を中心に進めます。リフレクションカードは研修会の後で先生たちが共有するサーバー上のエクセル表などに記入してもらいます。

 この流れは、「非同期学習」→「同期学習」→「非同期学習」を構造化することで、対面型の研修会以上に質の高いオンライン研修会を目指しているということです。全員を拘束する時間も短くなります。全員が時間を合わせてオンラインになっているところで数十分間の講義をする意味はあまりない気がします。

 事前視聴にすれば受講者は自分の都合の良い環境で自分の必要な合わせた学習をすることができます。「1.5倍速などで見る」「高速で見てから大事なところはゆっくり見る」「細切れに見る」「ノートをとりながら見る」‥などです。各自の環境、基礎力、意欲の違いに応じて「学ぶ」ことがてきます。

 全体研修でグループワークにする狙いは事前視聴した教材についての気づきや反応の違いを共有することです。自分と他人の気づきの違いを共有することで更に学びが深まります。全体会で質疑応答をすることで更に理解が深まります。自分が質問して講師に答えてもらっても理解が深まりますが、他者の質疑応答から学ぶことも多くあります。

 そして事後の「非同期学習」は「リフレクションカード」の記入です。私は対面型研修会の際にはPCを出してらうことができないので、A4用紙に手書きにしてもらっています。オンライン研修会の後の振り返りは、そのままPCで書き込んでもらいます。校内サーバーやクラウド上のシートに書いてもらいます。すると、他者の振り返りを見ることもできます。これが更に気づきを深めることになります。

 こういう仕組みを取り入れることでオンイラン研修会は対面型より格段に深い学びを実現することも可能だと感じています。

 ただ、これらを実験するには研修会講師に「説明スキル」「ファシリテーションスキル」「プログラム構成力」が必要になります。研修会講師の皆さんには、これらのスキルを磨いてほしいものです。充実したオンライン研修会を実施することが、それを受けた先生たちのオンライン授業スキルを高めることにもなります。

 最後に。研修会を企画する先生たちはこれらを踏まえて講師を吟味したり、講師にリクエストしていくことも必要だと思います。オンラインで何時間も語るだけなら、録画して配信して、好きな時間に好きなように見てもらう方が良いと思います。[この項終わり]

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