閉じ籠り生活2ヶ月の学び(4)

【授業研究】2ヶ月の閉じ籠り生活で学んだことを自分のために記しています。第4は研修会講師としてのトレーニングの必要性です。

(1)対面型研修会より効果的なオンライン研修会を創出する。
(2)オンライン研修会の準備を自己トレーニングなるように構成する。
(3)事前事後の打ち合わせを通してチームを育てる。
(4)学習効果の高さをアピールして講師料金の維持・向上を図る。

 (1)について。オンライン研修会をZoom等のアプリケーションを使って実施することが増えてきました。最も簡便で安易な切り替えは、これまで研修会では1人で話し続けていた講師がオンラインでも同様に講義をすることです。しかし、これは講師にとっても受講者にとっても困難です。

 受講者側はPC画面で60~90分のワンウェイを聴くのはかなり疲れます。飽きます。隣りの席の人と話もできないのは辛いです。寝るかもしれません。PCで他の仕事をするかもしれません。若い人なら聞きながらゲームを始めるかもしれません。講師にとってもほとんど受講者の反応が見えないまま講義をするのは難しい気がします。

 そこで必要なのはオンラインの強みを活かした研修会を構造化することです。「同期学習・非同期学習を組み合わせる」「オンラインでのグループワークを組み込む」などです。そのための事前視聴用の動画を配信したり、事前に読んでおくべき資料配布なども必要になります。

 (2)。動画作成やオンラインの全体会やグループワークをするには講師のスキルが必要になります。まず動画作成。色々試してみましたが、もっとも簡単なのはパワポに音声を入れて、動画に変換してyuotubeにアップして、限定配信することのようです。パワポに録音することの最大のメリットは1スライドごとに録音し直しができることです。間違えてもすぐに修正できます。この作業は「説明力向上」に役立ちます。コンパクトな説明は当然のこととして、少し早め、高めの声などか有効であることがわかってきました。

 オンイランでグループワークをやるには「テーマ設定、人数調整、時間設定」をうまくやる必要があります。Zoomのブレイクアウトセッションでは各グループの様子が見えません。機械仕掛けで全体会に戻ります。事前設計が大事です。

 更に質疑応答が講師の腕に左右されます。「コンパクトな質問」を促すためにも「コンパクトな回答」が大切です。安全安心の場を維持するために、言葉の使い方を対面の時より気を付ける必要があります。なるべくカメラの方に目を向けることも意識した方がよさそうです。

 そして最も大事なのは、これらのトレーニングは「対面型の研修会」や「普段の
他者とのコミュニケーション」のスキルトレーニングとしても効果があるということです。この意識と構造化が講師自身の成長を左右する気がします。

 (3)。私は学校の先生たち相手の校内研修会をオンラインで行うことが大半です。そこで授業改善の委員会などのコアチームの皆さんや管理職の皆さんと事前の打ち合わせをオンライン会議で丁寧に行います。「テーマはどうするか?」「内容は?」「時間配分は?」などから始まって次のことも話題になります。「オンラインでのグループワークの時のテクニカルサポートは誰がやってくれますか?」「Zoomを知らない先生たちのための事前講習会は誰ができませんか?」「振り返りを書いてもらうためのスプレッドシートを誰か作ってくれませんか?」などです。

 これをやっているうちに、チーム意識が高まります。私とともにみんなでこの研修会を成功させようという気持ちが広がります。これは大事なことです。これがわかってきたので、どうしても私だけでやらなくてはならないこと以外は、できるだけチームに投げかけています。校内の授業改善のための組織力を向上させるのも講師の役割だと感じているからです。

 (4)。講師は慈善活動ではないし、自己犠牲でも行けないと思っています。資本主義社会に出て行く子どもたちを育成するためには、その論理を踏まえた活動をするべきだと思っています。それ故、管理職や教育委員会の人たちにはきちんとした料金設定をしてもらうことも大事です。「学校の講師料は安い」と言われ続けています。これが広がり、オンラインではもっと安くなる‥となると講師の質は低下します。

 これを是正するためには講師自身が努力して「質の高い研修会」をつくり実践することです。そしてそれを広くアピールすることです。一時期、対面型研修会をオンラインすると料金は全く発生しないことがありました。当初はこちらも練習できると思い、それでよいとしていましたが、ある程度の質が実現できるようになったので、最近はきちんとアピールしています。

 それを理解してくれて、最近では少なくとも対面型の研修会と同じ料金設定が当たり前になりつつあります。時にはリアルの研修会以上の講師料を設定してくれることもでてきました。私も頑張りますが、他の講師の皆さんも同様に頑張って欲しいものです。

[この項終わり]

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