オンライン授業も対面授業も基本は同じ

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【授業研究】GCS9月全体会での各学校のコアチームの活動報告に対して私がコメントしたことを整理して記録しています。第2弾です。

[報告2]
 2学期が始まって、緊急事態宣言のために学年別登校や登校できない生徒に対してはオンラインで授業ということを、1ヶ月やってきました。先生がたにとってはオンライン授業やZoomの使用という面で強制的な研究授業をしている感じになっています。
 対面とは全く違うので、オンラインでのハード面で操作スキルが必要になるとともに、オンラインで授業を受けている生徒の集中力をどう持続させるかなどの、小林先生の「基本スキル・基本パターン」以外のスキルの必要性を感じています。

[小林のコメント2]
  オンライン授業だとかハイブリッドだとかいろんなことを皆さんおやりになっていますね。機械を上手く使える人はその中でも生徒とのやりとりをうまくやったり、ブレイクアウト・ルームでグループワークをやらせたりしていますね。ただ、そういう人はまだまだ少数派ですよね。

 大多数の先生たちは四苦八苦しています。そうすると今の話のように「基本スキルや基本パターン」どころではない。「もっとオンライン授業独自に必要なスキルを身に付けなくてはだめだ」という気になる方も出てきます。

 これは「アクティブラーニングが必要だから新しいスキルを身に付けなくては‥」「学びの態度を評価するために新しい授業方法を覚えなくては‥」というのと同じことです。この発想を続けると、いつまでも「新しいスキル開発に追われる」「流行の授業を追い求める」ということになりかねません。

 事前の講義で触れた「奥義は基本にあり」というのは、「技の多さを誇るなかれ」という戒めの側面もあります。見かけ上の技(スキル)に目を奪われて、次々に「新しい必殺技」を探し求める人は「結局、奥義にはたどり着けない」ということなんです。私が提案している「基本スキル・基本パターン」も同様です。

 私が今講師として、多くのオンライン講座で使っている方法は特別な授業方法ではありません。「基本パターンⅠ」そのものです。簡単に言えば「①講師(先生)が説明する(学習者は聴く)」→「②演習(グループで話し合う・協力する・理解を深める)」→「③振り返り」です。

 皆さんも基本パターンⅠ,Ⅱ,Ⅲをベースに分けて考えてみてください。その方が楽ですから。基本パターンの考え方は生徒に「今、何をしているのかを明示している」ととらえることもできます。つまり「今は説明を聞いてね」「今は問題を各自で解いてね」「今は質疑応答だから、質問したり、他の人の質疑応答を聞いてね」「今は振り返りだから、今日できたことは何だったかを思い出してね」と伝えるということです。

 こうやってオンライン授業を進めると先生が操作に慣れなくてモタモタしたり、生徒たちが接続不良で時間がかかったりしても、「何をやろうとしているか」「何をやればよいのか」はわかるので、あまり混乱しないものです。その結果、生徒たちの集中力も向上します。

 要するに「オンライン授業」も「授業」ですから、「基本スキル・基本パターン」はそのまま役に立ちます。そうやって自分のスキルを鍛えれば、「オンライン授業の質を高めること」が「対面の授業スキル向上にも役立つ」ということです。ぜひ、お試しください。

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