【授業研究】論理学の知識とスキルが必要だと感じることが続きます。「具体と抽象(細谷功著/dZERO)」を読み(2021/1/9)久々に思い出した後、ピーター・センゲがデミングの抽象化能力の凄さに驚いた話(2021/1/12)も紹介しました。
私に弁証法や認識論の手ほどきをしてくれた大先生には「まだ具体と抽象の違いがわからんのか!」と何度も叱られていました。そのおかげで考えるとき、話すとき、特に書く時には、その論理のレベルをとても意識するようになりました。
特に弁証法的論理学では「具体と抽象の統一=矛盾」にも着目しますから、その中間の存在も大事にします。単なる「具体と抽象」ではなく、「個別・特殊・普遍」「感覚的・表象的・概念的」などのように構造化することの大事さも取り上げます。その弁証法の学習の一環として、武谷三男の「三段階理論」や庄司和晃の「三段階連関理論」を学びました。特に武谷の「弁証法の諸問題」は何度も読み直していました。
そんなことは「年寄りの昔話」だと思い、あまり語ることもなくなっていたのですが、最近その種の話題が私の周りで広がります。「総合的な探究の時間」の指導をしている高校の先生たちから「生徒たちの思考力の浅さ」の話が続出し、「具体と抽象の区別がわからないのですよ」という話が何度も出てきます。
授業改善の支援をしている学校でも同様の話が出てきます。興味深いのは小学校・中学校の先生たちに「論理的に説明しましょう」と指導したところ、それに熱心に取り組み始めた先生たちから「子どもたちが具体と抽象の区別ができない」ことに気が付いた、どう指導すればよいのだろうか?という質問が出てきました。全く別の分野と言っても良い海外で子どもたちに言語習得の指導をしている知人からも「具体と抽象」の問題で悩んでいるというメールが届きました。
「論理的思考力」「ロジカルシンキング」「思考ツール」などが流行っていますが、その基礎の基礎というべきことが意外にきちんと伝わっていないのではないかという気になってきました。勉強すべきターゲットが新しく見えてきました。
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