5年10年後の学校教育は「二極分化」?

【授業研究】一昨日のオンライン講座の最後、参加していた方がチャットに書き込んでくれた質問を対話の相手の中島さんが拾い上げて質問してくれました。
「5年後、10年後の高校の授業は、どうなっていると想像しますか?」
私はこれに「二極分化しているいると思います」と答えました。これに補足しておきます。

 とっさに答えたものの、きちんとした根拠があります。それはこの数か月、コロナ禍の中で混乱する学校現場を直接見たり、現場の先生たちとZoom等で情報交換をしたり個別相談を受けてきた経験が基になっています。

 コロナ禍をバネにして飛躍し始めている学校があります。私が継続支援している某私立高校は「組織的な授業改善」に取り組み始めて授業が着々と変化しています。生徒たちの学び方も変わり始めています。

 ICT導入も進み始めていました。今年度中に全生徒にタブレット等の端末を貸与する計画でした。これを急遽繰り上げ、7月には全校生徒に貸与しました。校長の強いリーダーシップが発揮されました。

 9月になってこの学校では生徒に感染者が出ました。その生徒がいたクラスと濃厚接触者は1週間の自宅待機となりました。日曜日に感染が学校に知らされ月曜日から学級閉鎖と何人もの先生たちが自宅待機になりました。しかし、授業は平然と月曜日からオンラインで続きました。全生徒がタブレットを家に持って帰っているからです。

 更に驚いたのは自宅待機の先生が「授業を実施したこと」です。先生だけが自宅にいて学校にいる生徒たち向けにリモート授業を実施したのです。その前の第1波の時にもかなりのオンライン授業を実施していたこの学校の皆さんは、このことをさほどの事と受け止めずに平然としています。

 こんな学校がある一方で「授業改善の研修会を一度もやったことがない」という学校もあります。プロジェクターが全クラスに設置してあるのに使っている先生は1割にも足りませんでした。10年前の私の勤務校並みです。このような学校はたくさんあります。また教育委員会や教育センターの通信網の脆弱さと、教師に貸与しているPCにはwebカメラがないところが多いくらいです。

 このような現状を見ているので私は5,10年後の学校教育は「二極分化」していると予測しています。これは設備だけの問題ではありません。教師の力量の二極分化も進みます。すでにICT環境が整い、組織的な授業改善も始めている学校は5年10年たてば相当の力量になっています。特にメンバーが入れ替わらない私立学校の成長は目覚ましいものになるはずです。

 一方でICT導入が遅れている学校も多々あります。公立のみならず私立学校でも未だにその必要性を理解しない管理職もいるからです。このような学校に勤務し続ける先生たちは停滞します。設備がなければスキル向上はあり得ないからです。

 理解力のある若い先生たちは「遅れている学校」を退職することでしょう。そこにはスキルのない若い先生たちが次々に入り、大事な二十代にICTスキルも授業改善スキルも身に付かないまま三十代に突入することでしょう。

 だから「二極分化」すると答えました。これは恐ろしい予測です。公立も私立も授業料負担が軽減され「同じ教育」を受けやすくなったとみられています。そんなことはありません。どちらの学校に行くか、生徒・保護者にとっても、若い教員にとっても「恐ろしい二者択一」になりそうです。

 私はこの予想にかなりの自信を持ちつつ、でも外れて欲しいと願っています。

※秋から始まるオンライン連続講座の案内は以下です。
◎「みんなのオンライン職員室」はこちら→ https://minnano.online/
◎「Find!アクティブラーナー社」はこちら→https://find-activelearning.com/
◎「アクティブラーニング入門3(小林昭文著/産業能率大学出版部)」は
  こちら→https://www.amazon.co.jp/dp/4382057744/

f:id:a2011:20200204054022p:plain

◎お問い合わせ、研修会講師等のご依頼はこちらへとうぞ。
  →akikb2★hotmail.com ★をアットマークに替えてください。