学校の二極化(3)

【授業研究】私立学校が進んで学校が二極化すると思い始めたら、公立学校も負けてはいないという話です。ただ、そこには新たな問題もありそうです。

 某県の教育委員会から研修会講師の依頼がありました。内容はICTを活用した授業の手ほどきをして欲しいというものです。県内の全校から理科担当の少なくとも1人は参加させるとのこと。これはなかなか力が入っています。

 聞けば、GIGAスクール構想で予算が付いたので今年度中に全教室に電子黒板機能付きのプロジェクターと書画カメラを設置するとのこと。これを使えるようにするための研修会です。実施時期は12月。10月も終わる時期になってから12月の研修会の講師依頼と言うのは県教委としては珍しい慌ただしさです。今年度中に設備を整えて、来年度4月からは新しい授業のスタートダッシュをかけたいという意欲を感じます。

 では、何をどうしましょうか?とZoomで打ち合わせをしました。相手の指導主事さんとは数年前に知り合い、ご一緒に食事もしたので、本音で話ができます。「使い方はいくらでも紹介できるけど、そんなセールスマンのような仕事を期待しているわけじゃないよね」と言うと「そうなんです。そこが気かがりなんです」との答え。

 その気がかりの中身は「アリバイ作りのICT活用」です。プロジェクターを使って1時間丸々動画を見せる、何十ページものパワポのスライドを使ってひたすら説明する、書画カメラで教科書を映しながら説明するだけ‥それでも「機器を使っています」と嘯く授業者を私も何回も見てきました。そうなる可能性は少なくないと思います。「アクティブラーニング」の名前の下で、「アリバイ作りのグループワーク」が横行したのと同じです。

 そうなる理由もわかる気がします。「アクティブラーニング」「主体的・対話的で深い学び」でも「ICT機器の活用」でも、それらを実現する「新しい授業スキル」は全く明示されず、それを学ぶ機会もほとんどないからなのだと思います。それらの問題を踏まえて、この研修会をどう組み立てるか‥。色々と考えていきます。

 二極化の不安と、それに対する取り組みを紹介しました。今後の動きも注視したいものです。[この項終わり]

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