「書くように話す」チェックとトレーニング

【授業研究】齋藤孝氏が「書くように話す」とあちこちで力説しています。私も同感ですし、若い時に「書くトレーニング」をみっちりやってきたので、講演などで話したことを録音して文字起こしをしてもらうとその成果を感じます。「聞いたとおりに書くと、きちんとした文章になります。こんなこと初めてです。すごいでね」などと担当の方からのお褒めの言葉をしばしばいただくからです。

 そこで私はあちこちで「自分の授業を録音して聴き直すと良いですよ」とおすすめしています。斎藤孝氏も「スマホで録音して聴く」ことを勧めています。「えー」「あー」を減らすためにも有効です。しかし、これはあくまで「チェックの方法」です。

 「トレーニングの方法」は「書くこと」です。まあ、書いてみると「書けない」ことに気づくという点では「チェックの方法」でもあると言えますが。そのことを実感した体験がごく最近あります。

 少し前に書きましたが、最近、色々なテーマで講義・講演をさせてもらうことが増えました。そこそこにうまくやっているつもりでした。そこで、これらを文章化して本にできないだろうかと思いつきました。その下書きのつもりで研修会講師の原稿に追われつつも、合間に書き始めてみました。それで愕然としています。

 あるテーマについて文章化しようと書き始めたら「書けない」のです。すでに研修会で話した内容です。パワポのデータもあります。テーマも目次も、具体例も整理してあります。話したように書けばよいと思っていたのですが、文章の整理ができません。‥これはショックです。

 いつも本を書き始める時の最初の何十ページかは「ボツ」になります。それはわかっていることですが、それでも書き続けることでアタマが働き始めるのでジョギングのようなつもりで書いています。今回はそれとはかなり感覚が違います。「書く力が衰えた?」とヒヤリとしています。

 空手の選手としてトレーニングしている時にも、こんな感覚が時々起きていたことを思い出しました。例えば、足の感覚が違う。蹴りの時に軸足が地面をきちんと踏みしめていない気がする、という感覚です。これは練習を続けていけば何とかなるものとは違います。筋力の衰えか、膝か足の指先の構え・形に微妙な変化が起きているからです。それらのチェックを意識しながら、丁寧に基本的なトレーニングを始めます。時には白帯時代の基礎的な練習からやり直します。これは二十代のどんどん強くなっている時期にも、三十代のかなり強くなっていた時期にも、四十代の衰えを感じ始めた時にも行っていたことでした。だから比較的長く強さを維持できたと感じています。

 そのころのことを思い出しながら、改めてトレーニングを始めます。私にとってラッキーなことは、空手の選手のころには定期的に試合や大会があったことです。それにむけて調整をすることが大きなモチベーションになっていました。今は、人前で発表したり指導したり本を書いたりする機会に恵まれていることです。

 私にとっての4日間の閉じ籠りは後半の2日間になりました。楽しい2日間になりそうです。

◎新刊「アクティブラーニング入門3(小林昭文著/産業能率大学出版部)は

f:id:a2011:20190822064657p:plain

◎小林のHPはこちら。研修会講師のご依頼もこちらからどうぞ。

  →http://al-and-al.co.jp