「プロセス重視し過ぎだと思うのですが‥?」

【授業研究】昨日の都立瑞穂農芸高校での研修会終了後も続いた質問の中で標記の質問が印象に残っています。これは私も気になっていたことです。

 「結果よりプロセスが大事」という言い方が「成績より学び方が大事」「成績より授業のやり方が大事」になり、「結果より努力が大事」となり、そのことが生徒たちにも浸透している気がします。「結果より努力を認めて欲しい」「こんなに努力したのに認めてもらえない」などの発言になります。大学でも「授業外学習」をシラバスに記載し、その内容をチェックするようになると同様の学生の声が聞こえてきます。

 私は「結果よりプロセスが大事」を次のように理解したいと思っています。根本的には「最終的には結果が大事」だと思っています。学校の授業に関しては「資質・能力」「思考力・判断力・表現力」などの「結果」が大事です。その土台として教科書が終わり、内容を理解し、必要な知識を記憶し、その知識を活用して基本的な問題や大学入試などの問題が解けるようになることが、小中高校の教育の内容的な目標だと思います。そのための検定教科書です。

 その結果を出すには「プロセスが大事」です。授業者の立場からは「どんな授業をデザインし、生徒たちとどう関わり、どう振り返りをさせるか」などの「プロセスが大事」です。この場合、ペアワークやグループワークを「やるというプロセスが大事」なのではなく、協働的な活動を通して教科書が理解できたという「結果に結びつくプロセスが大事」なのです。それは「主体的・対話的で深い学びの実現」であり、その効果を生徒たちが体感するプロセスではなくてはならないのです。

 これがペアワーク等を「やればよいというプロセス重視」になっている気がします。生徒たちもこれらのワークを「やればよい」と捉えがちです。その結果が「あんなにしゃべっていたのに評価してくれない」「発表を積極的にやったのに‥」「リーダーを何回もやったのに‥」などの文句になります。ノート提出や宿題提出も同様です。

 しばしば誤解されていますが、私が12年前に作った物理授業はグループワークを取り入れることを目的にしていたものではありません。物理の成績向上、大学進学実績向上が最大課題でした。そのために「居眠り防止、選択者増加、成績向上、進度向上(教科書を早く終わらせる)」ことを目標として作った授業です。グループワークが長いことが注目されがちですが、その前の「板書・ノートなし」の説明、最後の「振り返り」、更には授業前後の様々な工夫があります。それら全体の「プロセス構築」がうまく行ったから「生徒たちの学びのプロセス」は「成績向上・選択者倍増などの結果」に結び付いたのです。「結果が出なくても良い」などと思ったことは一瞬もありません。「結果ができるプロセスをどうつくるか、どうブラッシュアップするか」が毎日の課題でした。

 若い先生の質問がきっかけで、私が気になっていたことを話せました。それもかなり熱く語ることができました。とてもうれしい質問でした。

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