京都市立堀川高校の学校公開授業

【授業研究】さすが堀川です。かなり無茶な日程を組んで出かけた甲斐がありました。私が参加できたのは、荒瀬先生の講演と、Sさんの数学の授業だけでした。
  荒瀬先生の講演で印象的だったのは2つ。1つは、文科省関係の会議に出席されているので、新学習指導要領に関する基本的な構造をコンパクトにまとめて教えていただけたことです。こういう「国の方針をわかりやすく伝える」講義をもっと増やすか、youtube などで流してもらえないものかと思います。
  2つは、「新しい授業」についてとても詳しく取り上げて解説してもらえました。「アクティブラーニング」という言葉を出し、グループワークや「振り返り」についても、「うちではこんな授業研究をやっているんですよ」と紹介してくださいました。そのきっかけの一部になっている私にとっては、とてもうれしいことでした。
  Sさんの授業見学で気づいたことも2つ上げておきます。1つは「AL型授業」を自己流に始めることの素晴らしさと限界です。全体構想(しくみ)や、問題の精選の仕方・並べ方(しかけ)はとても興味深いものがありました。数学がある程度わかる見学者にとっては興味深い展開方法(教え方)だったのだろうと思います。ただ、グループワークの展開や動かし方(支え方)は、私のようなベテランから見ると、「よくやっているけど、おしい」と感じることが多くありました。グループワークやファシリテーションの基本的なことを教えたり、伝えたり、訓練をしたりするプロセスがあれば、誰でももっと簡単にスキルを身につけることができそうだと確信しました。
  もう1つは、「見学している人たちの傍若無人ぶり」でした。説明の時から生徒の席の間を歩いたり、生徒に声をかけたりする人がいて、気になっていました。グループワークになったとたんに、見学者たちは各グループに群がりました。その結果、授業者Sさんには見えないグループがいくつもできてしまいました。チームに介入しようにも、そこまで歩いていけない状況が生まれてしまいました。私が感じた「よくやっているけど、おしい」の部分は、この見学者たちの動きによってSさんが普段の授業ができなくなったためだったかもしれません。
  もちろん、見学者たちに悪気はありません。新しい授業の中で何が起きているのか、生徒は何をしているのか等々を知りたかったのだと思います。でも、皮肉なことにその行為が、「見たいものを見えなくしてしまった」可能性があります。グループワークを含む授業を公開するときには、「見学のルール」を決めておくことが良いと思いました。見学者と授業者のためにです。そして、何より私たちが大事にしなくてはならない「生徒たちのため」にです。私は生徒たちをモルモットのように扱うことをもっとも戒めるべきだと思っています。