形ができるとその次への指導はしやすい

【授業研究】継続的に伺っている学校に久しぶりに行きました。物理のD先生の授業を見学しました。私の授業モデルをそのまま使っていらっしゃいます。この授業を継続していることは生徒の様子を見るとひと目でわかります。

 逆に研究授業など見せていただく授業でグループワークをやっているのをみせていただくと、「今日初めてやっている」ことがすぐにわかります。それは「はしゃぎかた」です。「初めて」か「久しぶり」か、とにかく継続していないグループワークでは生徒たちははしゃぎます。興奮気味です。ワークの中身がなくても、楽しみます。一見、活性化しているワークに見えます。

 しばらくこのワークを行う授業を継続すると、この「はしゃぎかた」は収まります。しかし、ワークの課題の質が低いと「それほど頑張らなくても良い」ので、生徒たちは余裕で雑談をしながら、終わりまで「話し合っているフリ」をします。生徒たちに悪気はなく、「話し合っているつもり」なのですが‥。

 それに比べるとD先生の授業では生徒たちが黙々と練習問題を解き続けます。それが今日初めてではないことはよくわかります。授業の後にD先生に確かめてみると、「4月からずーっとこの形です」との答えでした。「なるほど」と合点がいきます。

 しかし、問題がいくつかあります。「生徒たちがほとんど話し合いをしない」「時々寝てしまう生徒が複数いる」ことです。私の授業パターンでこれが起きる時の可能性は以下の要素であることが予想されます。

➀「態度目標」が提示されていないか浸透していない。

  だから「黙って」「じっとしている」という授業態度になりがち。

②問題が易しすぎる。

  だから「話し合う」「質問する」必要がない。

➂問題数が多すぎる。

  だから「時間に余裕がなくて」話し合えない。

④先生が適切な介入をしていない。

  だから「自分たちの学び方を自覚できない」ので変化させられない。

 今回はそれらの全てが当てはまりました。しかし、これは「悪い授業」ではなく、とても「良い授業」なのだと感じました。改善点が明確に把握できて、改善も容易に実現できそうだからです。その理由はD先生が4月以降この形の授業を続けていたからです。生徒たちも慣れているからです。「カタチができていれば、次への指導がしやすい」と感じたということです。