新学習指導要領と「学校システム」のダブルバインド

【授業改善の必要性10】「学校パイプライン」と「ヒドゥンカリキュラム」は「悪い」わけではないのですが、学校教育にはその構造があります。戦後復興に大成功したほど、日本においてはその構造がしっかり深く組み込まれているといっても良いと思います。
  その一方で、新学習指導要領の目玉が2つあります。「言語活動の重視」と「思考力・判断力・表現力の育成」です。この2つは別々にとらえるのではなく、「適切な言語活動(発表・話し合い・討論等)を取り入れることによって、思考力・判断力・表現力を鍛えられるような授業改善をしましょう(文科省のポスター)」というものです。
  これが、衝撃的な内容だと「敏感に」反応した人がほとんどいなかったのが、私には不思議です。例えば、従来の授業では「言語活動をしているのは先生だけ」でした。良い授業の評価基準の上位には「私語がない」が必ず入っています。これが、ひっくり返ったと理解した人はいなかったのでしょうか?
  恐らく先生達が新学習指導要領に沿って「話し合い」や「発表」をやると生徒達はとまどいます。それは「新しい活動」と「暗黙ルール(学校教育システムのルール)」が矛盾するからです。2つの矛盾するコミュニケーション状況におかれることをダブルバインドと呼びます。ダブルバインドにおかれた子どもは統合失調症に似た症状を示すと言われています。このことは誰も指摘していないような気がします。(この項つづく)