毎日放送Voiceが報じたアメリカの学校教育問題は日本でも人ごととは思えない。ただ、この種の議論でいつも不思議なのは「学校教育」の大半の時間を占めていて、もっとも大切な「授業」の中身についての議論がないことです。
行政側の言い分はこんなところでしょうか。「教員の質をあげれば学校教育の質は向上する」「身分が保障されている(なかなかクビにならない)教員は努力しない」「ダメ教員、ダメ学校をなくせば改善するはずだ」「ダメかどうかは学力検査をやって成績を公表し、その点数で決めればいい」
一方、教員側の言い分はこんな感じです。「教育の自由を守るべきだ」「教員があれこれ規制されたら本来の教育はできない」「点数で評価するなんてもっての他だ、人を点数で評価したら教育なんて出来ない」
この議論の中で、「どんな授業をやっているの?」「どんな授業をやらせたいの?」「どんな授業をやりたいの?」「その授業を実践するためにはどんな施設やどんなトレーニングが必要なの?」「良い授業を実現するために教員の資質を向上させるためには何をすればいいの?」などということは語られません。
ついでに言えば「学校改革成功事例」もたくさんありますが、「授業改善」が中心になっている事例はありません。大半は、校舎建て直し、制服改定、名物校長(教諭)の導入、新コース設立による合格点の引き上げ、海外修学旅行の実施、附属高校化して大学へのエスカレート化などです。
私はいくつかの成功事例と言われている学校を訪問して見学させてもらいましたが、「授業は今まで通りです」の答えがほとんどでした。要するに何らかの形で偏差値の高い生徒を入学させれば学校は良くなるということです。これって単なるパイの奪い合いです。どこかが勝てばどこかが負ける構造です。
教育問題解決のゴールはそうではないはずです。国民全体の教養レベルを引き上げて、国民全体の学習意欲向上、ひいては「生きる力」の向上が望まれているはずです。そのためには「授業改善」が必要なのです。しかし、残念ながらこのことにはほとんど着手されていません。次回以降、その解決の実践とアイデアについて述べます。
アクティブラーニング実践交流会主宰=小林
http://www.slideshare.net/kousotsu/ss-11669693