アクティブラーニングの学習効果


 生徒たちの声を改めて「学習面」「物理の内容理解」に絞って取り上げたのが左の図です。普通の感覚というか、常識的には、「先生が熱心に語り、生徒が姿勢良く、黙って聴いている」のが良い授業です。そして、その方が生徒にとっても集中でき、理解も深まるだろうと想像しています。更に付け加えれば、先生の説明が長いほど生徒の理解が深まるという信念を私たちは持っているような気がします。
 ところが、私の「アクティブラーニングとしての物理」では、教師の説明時間は短く、生徒同士が語り合う時間が大部分を占めています。それにも関わらず、いや、その形式だからこそ、生徒たちは「勉強ができた」というのです。上に示したように、「楽しく勉強できるからやる気がでる」とは学習意欲が向上することを表しています。「よくわかった」「難しい問題がわかった」は内容の学習が進んだことを示しています。
 「先生に教えられて気づくよりも、自分で考えてわかった喜びの方が大きかった」「自分たちでやりかたを発見したこと(が良かった)」は思考力が鍛えられているのだと解釈しています。更に「今さら、先生に聞けないことも友達に聞けた!」「教えることでもっと良く理解できた」「生徒同士で質問するから、両方が学べること(が良かった)」などは、自由に話せる場があると生徒たちは質問したり、教えたり、教えてもらったりしながら、学習内容を着々と理解していくのだということがわかります。

 このことは、左の学習理論のピラミッドを実によくあらわしています。私はこのピラミッドをこの授業を始めた後で知ったのですが、まさにこの通りのことが毎日教室で起きています。ある時「僕は教えてもらうばかりでみんなに悪いことをしている」とリフレクションカードに書いた生徒がいました。同じ回に別の生徒が「友だちに教えることで自分がまだ理解していなかったことがはっきりして、より深く理解できた」と書きました。私はこれらを次の回にプリントして配布しました。友だちに悪いと書いた生徒は、「うれしい。安心して質問できる。教えてもらえる」と言いました。