同調圧力

【授業研究】「同調圧力(望月衣塑子・前川喜平・マーティンファクラー/角川新書)」を読みました。何となく感じていたことではあるのですが、その恐ろしい現実をひしひしと感じさせられる一冊です。

 日本のマスコミも文科省も「政府には何も言えない」「言わない方が楽だと思う人たちが多い」「その結果、真実は埋もれていく」‥これは恐ろしいことです。学校教育に関わる人たちはもっとこのことを理解するべきなのではないかと思います。昔、学校で組合運動が強かった時には、少々品位にかけていた感じはしますが、それなりの批判的精神は現場にあった気がします。

 この本の中に著者の1人、望月衣塑子氏の「新聞記者(望月衣塑子著/角川新書)」が映画化されることが書いてありました。調べてみると、まだ上映中です。早速、見に行こうと思います。また、アメリカのマスコミとニクソンの闘いを描いた映画3本にも興味津々です。良い本に出会いました。

アマゾンはこちら→https://www.amazon.co.jp/dp/4040823028

f:id:a2011:20190810111308p:plain

 映画「新聞記者」はこちら→https://shimbunkisha.jp/

授業力トレーニングのヒント

【授業研究】後期の大学授業で学生に「素早く読む」「コンパクトなアウトプットをする」などの読解力を鍛える方法のヒントを得ようと、「超速読(齋藤孝著/ちくま新書)」を買って読んでいます。その途中で別のことについての大きなヒントを得ることができました。

 私が提案している授業モデルは「短かい説明→長いワーク→振り返り」のバターンです。この「短い説明」がなかなかうまくできないとという質問や愚痴をしばしば聞きます。越ケ谷高校で行っていた時には生徒は慣れてくると、私が説明している時でも平気で発言し始めます。「え、先生、じゃあれもつながっているということですか?」「この前、こんな体験をしたけど、それもその法則ですかね?」‥などという具合です。そんな予想外の質問は当たり前でしたが、それども私の説明は「必ず15分間で終わり」にしていました。

 「そんなことできない」と多くの先生たちに嘆きを聞きます。私は「説明しながら、生徒の質問に答えて、これで何分ロスしたから、あの説明は省略しようと考えています。私にとっては結構楽しいパズルであり、トレーニングなのですけどね‥」と答えていますが、あまり納得してもらっていないようです。

 この本のp-109~p-113に良いヒントが書いてありました。この節のテーマは「『超音読』で『アイ・スパン』を広げ、脳を活性化する」です。以下、引用です。

 

 速度を上げて音読すると、目で先の文章を負いながら、口では違う文章を言っている。つまり脳が2つの作業をしているのです。「速音読」でこの訓練をしていると、頭がとんでもなくシャッキッ!とします。(中略)

 音読することによって、自分をコントロールする脳の前頭前野の働きが活発になる。その結果、視床下部にある偏桃体が興奮して起こる攻撃性や不安を抑えることができるそうです。(小林注:このあたりの伝聞は東北大学川島隆太氏と斎藤氏の対談が基)

 それだけでなく、認知症にも効果があるとおっしやっていました。スマホやテレビばかり見ていて、受動的な状態に置かれていると、脳の活動が落ちてきて、学習能力も下がるそうです。でも、音読をすると、前頭前野にいちばん血流が回って、脳の活動が活性化されるのです。(引用終了)

 

 この脳が2つの作業を同時に行うことを「デュアル・タスク」というそうですが、これにより脳が活性化し、斎藤氏は講演会の最中に「しゃべりながら、聴衆の反応をみながら次の話をどうするかを考える」ことができるようになったと言います。

 なるほど、と思います。私は物理授業でこの「デュアル・タスク」の能力を鍛え続けてきたということのようです。いきなりここにチャレンジするのが難しい方は「速音読」から始めて見るとよさそうです。お試しください。

アマゾンはこちら→https://www.amazon.co.jp/dp/4480072314/

◎小林のHPはこちら。研修会講師のご依頼もこちらからどうぞ。

  →http://al-and-al.co.jp

昔の実践を伝えるチャンス

【授業研究】私は学校単位の研修会を数多く引き受けていますが、その具体的な方法については概ねリクエストに応えるようにしています。そのため、依頼してくださる方が何か具体的な計画を持っている場合には、それに沿って計画をします。時には「もっと良い方法があるのだけども‥」と思いながら、「ま、いいか」と引っ込めてしまいます。良くない事なのかもしれませんが、「相手が求めていないものを押し付けるような気がすることは好きではない」のです。

 従って、こちらが持っていることを求められるのはとてもうれしいことになります。今回のリクエストは「総合的な探究の時間」に「体育系の生徒たちの研究グループ」の担当者に保健体育以外の教員を充てたいのだが、「誰が担当になっても良い方法はないだろうか?」というリクエストです。

 これは私が昔、AO入試の指導で始めた方法が役立ちます。基本はレグ・レバンスの「アクションラーニング」にあります。マーコード方式のシステマティックにがっちりしている方法ではなく、「質問」から始めて「振り返りと気づき」に重点を置く方法で、ふんわりした進め方になります。この方法をとるときに、指導者は個々の生徒たちの研究テーマについて具体的な知識がなくても、生徒たちがそれぞれに別のテーマを持っていても、学習を進めることが可能になります。

 この高校からのリクエストは「マニュアルのようなものはないですか?」ですが、私は作ったことがありません。しかし、この機会に作成してみようと思います。あのころに比べると、授業改善や大学授業での研究成果もたくさんあります。この方法は「総合的な探究の時間」の進め方にも応用ができます。夏休み中に集中的に取組むことができる楽しい課題ができた気がします。

◎拙著のご案内です。

 アマゾンはこちら→https://www.amazon.co.jp/dp/4866141077

f:id:a2011:20180618201114j:plain

 

◎小林のHPはこちら。研修会講師のご依頼もこちらからどうぞ。

  →http://al-and-al.co.jp

400年前の「100年人生」

【授業研究】成績処理に忙殺されて読み終わるのに時間がかかった1冊です。感動の1冊です。若い人たちにはピンとこないかもしれませんが、50代60代それ以上の方には勇気を得ることができる作品です。また、立身出世や名声を得ることに興味がなく、目の前の仕事に立ち向かう人にもお勧めです。教師でいえば、目立つことを目指すのではなく、毎日の授業と目の前の生徒(児童・学生)を大切にし続けている人に読んでいただきたい小説です。

 小説とは言え史実に基づいています。文庫本の解説を書いた本郷和人氏は以下のように書いています。

 「‥ここで白状しなくてはなるまい。私は歴史研究家のはしくれであるにも関わらず(中略)、人より少しは故事を知っていることで糊口をしのいでいる身でありながら、大島光義なる武将をこれまで見たことも聞いたこともなかった。恥ずかしながら、弓の達人であるこの武将の名は、私の記憶にはなかった。だから本書は、格別な一冊となった」

「(中略)世に全く知られていない人物を探り出し、丹念に事績を調べ、その上で想像力を縦横に駆使して小説に仕立てることは、この『0から1を』生む行為に他なるまい。研究者の精緻な目と、小説家の熟練の技を必要とする。まさに至難の技である」

「かつて吉川英治宮本武蔵を発掘した。司馬遼太郎坂本龍馬を世に送り出した。それと軌を一にして、近衛龍春は、大島光義の生涯を描ききった。たいへんな労作であるとともに、味読に値する逸品である。弓にこだわり抜いた大島光義と、彼の鮮烈な人生を眼前に蘇らせてくれた近衛龍春に敬意を込めて乾杯しながら、もう一度読み返すことにしよう」(「九十三歳の関ヶ原(近衛龍春著/新潮文庫)」解説より引用)

 93歳で関ヶ原の戦いに参戦し、97歳(慶長9年,1604年)まで生きた大島光義は、生涯53度の合戦に臨み、41枚の感状を得たと記されています。400年前の見事な「100年人生」と言っても過言ではなさそうです。

Amazonはこちら→https://www.amazon.co.jp/dp/4103501510/

f:id:a2011:20190809103305p:plain

◎小林のHPはこちら。研修会講師等のご依頼もこちらからどうぞ。

  →http://al-and-al.co.jp

耳鳴りと血圧

【授業研究】ここ数年軽い耳鳴りが気になっています。血圧は健康診断の度に「良い血圧ですね」と言われるほど良好です。

 耳鳴りは脳外科、耳鼻科、神経科鍼灸治療、漢方治療‥とあれこれ探していますが、根本的な治療には成功しません。というより、大半の治療者は治療に自信がないようです。「私も悩んでいるのですよ」とあきらめ顔では話す医師が多いのにはびっくり&がっかりです。

 そんな中で以前から少し気になる治療を提示している治療院を見つけたので、行ってみました。論文を出して評価されているし、治療者の説明も理論的で自信満々。説明を聞いて試しに治療を受けてみるとこれがかなり効果がある。1週間後2度目の治療。ほぼ耳鳴りを感じなくなってきました。睡眠の質も上がった気がします。期待して、少しづけてみようと思います。

 血圧は良いのですが、1年に1回しか計っていないので、こまめに測ろうかという気になって調べていくと、最近はスマートウォッチで測定できることを知りました。しかもこれが安い。血圧計単体と比べても安いくらいです。それならと注文して、今日届いたので、早速セッティングして血圧を測定。結果は大学生の時に初めて計ったときと変動なし。「良い血圧」と言ってもらえそうです。

 来年度からの仕事に向けてトレーニングを始めようと思っているので、この2つのことは自信になります。年を取るということは「老いとの闘い」でもあるのですが、丁寧に自分の身体のメンテナンスを続けていきたいものです。「100年人生」を生き抜くための「活力資産」を高めるということです。

◎拙著のご案内です。

 アマゾンはこちら→https://www.amazon.co.jp/dp/4866141077

f:id:a2011:20180618201114j:plain

 

◎小林のHPはこちら。研修会講師のご依頼もこちらからどうぞ。

  →http://al-and-al.co.jp

「100年人生を豊かにするための授業改善」

【授業研究】専門学校では「100年人生を豊かにするための授業改善」というテーマで話しました。「学生のために」だけではなく「教員のために」に重点を置いています。

リフレクションカードのコメントの一部です。

「100年人生という視点で考えると、新しいことを積極的に取り入れることの必要性を感じました。先生のお話を聞くと、勉強しようという気持ちになります。今後も継続して学んでいきたいと思いました」

「いつまでも成長しなくてはと思いました」
「いま、いろんなところで『LIFE SHIFT』が話題になっています。

 転職組ですが、転職した教員という仕事にお得感が感じられました。

 まだまだ働かなければならないのなら、

 この仕事をもう少し続けようという思いになりました」

「100年人生という視点で考えると、新しいことを積極的に

 取り入れることの必要性を感じました。

 先生のお話を聞くと、勉強しようという気持ちになります。

 今後も継続して学んでいきたいと思いました」

 うれしいことです。生徒や学生のために教員が辛い仕事に自己犠牲を積み重ねていくのではなく、「教員の100年人生を豊かにするための授業改善」という視点に気づいてもらえたようです。

◎拙著のご案内です。

 アマゾンはこちら→https://www.amazon.co.jp/dp/4866141077

f:id:a2011:20180618201114j:plain

 

◎小林のHPはこちら。研修会講師のご依頼もこちらからどうぞ。

  →http://al-and-al.co.jp

NASAゲームの気づき

【授業研究】コンセンサスゲーム「NASAゲーム」を体験した先生のコメントです。

「ルールを決めることにより、子どもたち全員が楽しく活動に取り組むことができると思いました。多数をしない、リーダーを決めない、じゃんけんしない、黙ってい人をほおっておかない、時間を守る…など」

 これはとても大事な発見です。しばしば「自由に話し合ってください」と指示する授業がありますが、これは生徒・学生にとっては案外不自由です。同じことが大学の授業のリフレクションカードでも出てきます。

 大学では「アクションラーニング・セッション」をひたすら繰り返させます。最初は手順表だけを示してやらせます。次は「沈黙を大事にしてみましょう」と指示して気づきを共有させ、書かせます。そのあとは「〈〇〇さん〉と呼びましょう、スクリプトを見ないで相手を見て発言しましょう、メモを取り過ぎないようにしましょう‥」と次々に意識すべきことを増やしていきます。

 今年度の授業ではこれが増えてきて以前意識できた項目が忘れがちになることが分かったので、「十数個のチェックリスト」を新たに用いてセッションを進めました。14回の授業の最終盤の数回は私が何も言う必要はなくなります。最後まで真剣な話が続き、その後も静寂の中でのリフレクションカード記入が続きました。

 そのころ学生が書いてきたコメントです。

「最初のころは〈質問だけ〉〈相手の目を見て〉〈メモを取り過ぎない〉‥などのルールやチェックリストがとても窮屈でした。でも、みんなが当たり前にできるようになってきたら、その方が〈人の発言を良く聴く〉〈深く考える〉〈色々な角度からの質問をする〉ことができるようになりました。今日のセッションではとても深い問題を話し合うことができました。問題提示をした人は涙ぐみながら深い気づきを話してくれました。ルールが話し合いを自由にしてくれました」

◎拙著のご案内です。

 アマゾンはこちら→https://www.amazon.co.jp/dp/4866141077

f:id:a2011:20180618201114j:plain

 

◎小林のHPはこちら。研修会講師のご依頼もこちらからどうぞ。

  →http://al-and-al.co.jp