授業力トレーニングのヒント

【授業研究】後期の大学授業で学生に「素早く読む」「コンパクトなアウトプットをする」などの読解力を鍛える方法のヒントを得ようと、「超速読(齋藤孝著/ちくま新書)」を買って読んでいます。その途中で別のことについての大きなヒントを得ることができました。

 私が提案している授業モデルは「短かい説明→長いワーク→振り返り」のバターンです。この「短い説明」がなかなかうまくできないとという質問や愚痴をしばしば聞きます。越ケ谷高校で行っていた時には生徒は慣れてくると、私が説明している時でも平気で発言し始めます。「え、先生、じゃあれもつながっているということですか?」「この前、こんな体験をしたけど、それもその法則ですかね?」‥などという具合です。そんな予想外の質問は当たり前でしたが、それども私の説明は「必ず15分間で終わり」にしていました。

 「そんなことできない」と多くの先生たちに嘆きを聞きます。私は「説明しながら、生徒の質問に答えて、これで何分ロスしたから、あの説明は省略しようと考えています。私にとっては結構楽しいパズルであり、トレーニングなのですけどね‥」と答えていますが、あまり納得してもらっていないようです。

 この本のp-109~p-113に良いヒントが書いてありました。この節のテーマは「『超音読』で『アイ・スパン』を広げ、脳を活性化する」です。以下、引用です。

 

 速度を上げて音読すると、目で先の文章を負いながら、口では違う文章を言っている。つまり脳が2つの作業をしているのです。「速音読」でこの訓練をしていると、頭がとんでもなくシャッキッ!とします。(中略)

 音読することによって、自分をコントロールする脳の前頭前野の働きが活発になる。その結果、視床下部にある偏桃体が興奮して起こる攻撃性や不安を抑えることができるそうです。(小林注:このあたりの伝聞は東北大学川島隆太氏と斎藤氏の対談が基)

 それだけでなく、認知症にも効果があるとおっしやっていました。スマホやテレビばかり見ていて、受動的な状態に置かれていると、脳の活動が落ちてきて、学習能力も下がるそうです。でも、音読をすると、前頭前野にいちばん血流が回って、脳の活動が活性化されるのです。(引用終了)

 

 この脳が2つの作業を同時に行うことを「デュアル・タスク」というそうですが、これにより脳が活性化し、斎藤氏は講演会の最中に「しゃべりながら、聴衆の反応をみながら次の話をどうするかを考える」ことができるようになったと言います。

 なるほど、と思います。私は物理授業でこの「デュアル・タスク」の能力を鍛え続けてきたということのようです。いきなりここにチャレンジするのが難しい方は「速音読」から始めて見るとよさそうです。お試しください。

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