400年前の「100年人生」

【授業研究】成績処理に忙殺されて読み終わるのに時間がかかった1冊です。感動の1冊です。若い人たちにはピンとこないかもしれませんが、50代60代それ以上の方には勇気を得ることができる作品です。また、立身出世や名声を得ることに興味がなく、目の前の仕事に立ち向かう人にもお勧めです。教師でいえば、目立つことを目指すのではなく、毎日の授業と目の前の生徒(児童・学生)を大切にし続けている人に読んでいただきたい小説です。

 小説とは言え史実に基づいています。文庫本の解説を書いた本郷和人氏は以下のように書いています。

 「‥ここで白状しなくてはなるまい。私は歴史研究家のはしくれであるにも関わらず(中略)、人より少しは故事を知っていることで糊口をしのいでいる身でありながら、大島光義なる武将をこれまで見たことも聞いたこともなかった。恥ずかしながら、弓の達人であるこの武将の名は、私の記憶にはなかった。だから本書は、格別な一冊となった」

「(中略)世に全く知られていない人物を探り出し、丹念に事績を調べ、その上で想像力を縦横に駆使して小説に仕立てることは、この『0から1を』生む行為に他なるまい。研究者の精緻な目と、小説家の熟練の技を必要とする。まさに至難の技である」

「かつて吉川英治宮本武蔵を発掘した。司馬遼太郎坂本龍馬を世に送り出した。それと軌を一にして、近衛龍春は、大島光義の生涯を描ききった。たいへんな労作であるとともに、味読に値する逸品である。弓にこだわり抜いた大島光義と、彼の鮮烈な人生を眼前に蘇らせてくれた近衛龍春に敬意を込めて乾杯しながら、もう一度読み返すことにしよう」(「九十三歳の関ヶ原(近衛龍春著/新潮文庫)」解説より引用)

 93歳で関ヶ原の戦いに参戦し、97歳(慶長9年,1604年)まで生きた大島光義は、生涯53度の合戦に臨み、41枚の感状を得たと記されています。400年前の見事な「100年人生」と言っても過言ではなさそうです。

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