やっぱりコルブ!

【授業研究】私は授業改善支援の中で色々な実践をことをやってくださいとお願いします。そのたびに「振り返り(リフレクション)」を書いてくださいと言います。簡単なものは、ペーパーに書いてもらうか、スプレットシートに書いてもらいます。面談(オンラインでもリアルでも)のあとにも同様です。それは「コルブの学習サイクル」を重視しているからです。そのことにより、その先生の実践が向上すると信じているからです。

 実際、それらの「振り返り」をきちんと書いてくれる先生たちは確実に授業が上手くなっていきます。色々な発見や気づきを積み重ねるので、その人らしい授業の変化が起き、発言も論理的になっていきます。多くの場合、PDCAのように最初に大きな「P(プラン)」を書いているわけではありません。ほんのちょっとした「気がかり」「行き詰まり」を基に私と話をして、「振り返りと気づき」を得て、再び実践を続けるうちに成果が出てくるものです。その過程でリフレクションを書いていると、一連の自分の実践を「書く」ことができるようになります。

 今回の先生が「書いてみたら?」「はい、やってみます」のやりとりの後に、2~3日でA4,2枚程度をかけた理由は、小さなリフレクションを〈書いていた〉ことにあると私は想像しています。実践は大きな「P(プラン)」から始めるより、「まずは実践」してみて振り返り、その気づきを基に次の実践へと進む方がよほど気楽ですし、継続しやすいし、成長も実現できると私は感じています。

 この意味でも、PDCAより「コルブ」だと改めて実感しました。このあとはレポートを書いた先生たちに「クリティカルフレンド」をやってもらおうと思います。やり方は簡単。誰かのレポートを読んで集まり、レポートを書いた人に「質問」するだけけです。質問と回答の繰り返しにより、書いた人はさらに大きな気づきを得るはずです。これは教科を超えて行えます。オンラインを使えば学校や地域を超えて行うことも簡単です。

 このことは先生たちが「探究活動」を指導する時の役にも立ちます。質問力も向上します。そして、少し大きなレポートを書いてもらいたいと思います。いわば先生たちの「探究活動」です。自分で体験しておけば、指導もできます。更に良いことがあります。

 私はあちこちで先生たちに、「実践を短いレポートにしましょう」「それらを集めたら論文ができます」「何十年か仕事をしたら、本を書けるようにしましょう」と言っています。一生のうちのかなり長い時間をかけた仕事の足跡を残して欲しいという気持ちもありますが、もっと大きいのは、「コルブの学習サイクル」を回すためです。コルブはこのサイクルを回すことを「学習」と言い、続けていくことを「成長」と言っています。これが「変身資産(リンダ・グラットン)」を鍛えることになります。「生産性資産」の鍛錬にもなります。

 そして、教職は再び魅力ある職業になるはずです。