「振り返り」の重要性と具体的な方法(1)

【授業研究】昨日(2020/11/3)の朝のオンライン会議で議論が盛んだったのは授業における「振り返りの方法と効果」でした。ここではどちらかというと具体的な方法に話題が集中しました。その前日(11/2)のブログの記事には「リフレクションと確認テスト」についての質問がfacebookに寄せられました。これに丁寧に答えたところ、「スッキリした」というコメントをたくさんいただきました。

 また別のところで見ていた議論でも「振り返り」が話題になっていました。ただ、ここでは「反省はだめだ」「省察(せいさつ)ではなければいけない」という議論になっていました。しかし、反省も省察も英訳はreflectionです。言葉の問題よりも、もっと深いところで議論して欲しいものだと感じました。

 私は2007年度から高校物理授業を大幅に切り替えました。この時に「振り返りが大事」ということを生徒に丁寧に話しました。そして、当時はまだあまり使われることがなかった用語でしたが「リフレクションカード」を毎回書かせることにしました。これには「物理だから」という意味も含めていました(この内容は後述します)。‥そんなことを少しまとめてみようと思います。まずは、最初の段落に書いたfacebookでいただいた質問に対する回答を基に大幅に解説を加えて再録します。

 まずは質問です。
「この場で質問して良いのか迷いましたが、小林先生へ質問です。
 生徒の活動量を増やすために確認テストとリフレクションの
 いづれか1つを選択するとすればどちらが良いでしょうか?
 または、活動量を減らしても確認テストとリフレクションの
 両方をする方が良いのでしょうか?」

この質問に対する私の回答をfacebookに書き込んだ内容に更に解説を加え、何回かに分けて「振り返り」についてまとめることにします。長くなりそうですがお付き合いください。まずは回答の冒頭です。

「質問ありがとうございます。私の理解では『確認テスト』も『リフレクションカード』も『リフレクション』です」
 まずはここから丁寧に補足していきます。ここで私が「リフレクション」としているのはコルブ(David Allen Kolb,1939-)の理論に基づいています。私が高校物理授業改善を考える時にコルブをベースにした理由はその学習観です。

 コルブは「知識を吸収すること」=「学習」と捉えていませんでした。下に紹介するような「学習サイクル」=「体験→振り返り→気づき→試行(→新しい体験)」を回すことを「学習」と言っています。そのサイクルを回し続けて生きることを「成長」と言っています。私はこのことに感動しました。そこでこれを高校物理をデザインするときの基本にしようとしました。以下が生徒向けに解説していた図です。

f:id:a2011:20201104061357p:plain

 右側にある「内省的な観察 reflective observation」にあるreflective を取り出して「リフレクション=振り返り」としました。コルブの精緻な定義づけとは少々異なるのではないかと思いながらも、高校生にわかりやすくしようとして、吹き出しにあるように読み替えました。まずはここまでです。[この項続く]

※秋から始まるオンライン連続講座の案内は以下です。
◎「みんなのオンライン職員室」はこちら→ https://minnano.online/
◎「Find!アクティブラーナー社」はこちら→https://find-activelearning.com/
◎「アクティブラーニング入門3(小林昭文著/産業能率大学出版部)」は
  こちら→https://www.amazon.co.jp/dp/4382057744/
◎お問い合わせ、研修会講師等のご依頼はこちらへとうぞ。
  →akikb2★hotmail.com ★をアットマークに替えてください。