20年前のワークシート

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【授業研究】ある専門学校の職員向け研修会の準備をしています。当初、教科を教えている「教師」向けの研修会だと思っていたのですが、そうではありませんでした。「職員」と呼ばれている私の言葉では「クラス担任」的な仕事をしている方たちむけの研修会でした。乗り越えるべき課題は「知識の伝達・受取型の授業の転換」ということでした。
 特に具体的に挙げられたのが学生向けに外部講師を呼んで講演会などをしてもらっても学生は「黙って聴いているだけ」「中には寝ている学生もいる」「メモは話された内容を書き写すだけ」「質問は?と尋ねられても無言」‥だと言います。これを改善するための研修会をやって欲しいというリクエストです。

 これを聞きながら約20年前の経験を思い出していました。当時、私が転勤したばかりの学校はスポーツ中心の学校から「進学校」への転身を目指していました。有能な進路指導主任を引き入れ、外部有識者・大学教授などの講演会をものすごい勢いで実施していました。これを外部の教育産業の力を借りることなく集めていた進路指導部主任の力と意欲は凄いものでした。それだけの人だからこそ、生徒たちが「ぼーっとして聞いている」「寝ている生徒も多々いる」「質問など出たためしもない」という状態にイライラを募らせていました。しばしば、講演会の後に担当学年の担任を集めてお説教をしていました。ベテランの「やり手」の先生の文句に先生たちも下を向いて沈黙するだけ‥が続いていました。

 その当時の私はカウンセリングの勉強はだいぶ進み、グループワークの研究を始め、キャリア教育についても学び始めていた時でした。その「キャリア教育」のために「ワークシートを使ったグループワーク」を開発しているところでした。理論的には「コルブの学習サイクル」を意識していました。その私はこの進路指導主任の文句はもっともだと思いました。しかし、生徒にお説教をしても、担任の先生たちにお説教しても変化はしないと考えていました。もっと「具体的で」「先生たちの負担も少なく」「全担任と全生徒が取り組める方法」を編み出すべきだと考えました。

 その結果、編み出した「講演会を聴くためのワークシート」は大きな効果を発揮しました。寝る生徒は1人もいなくなり、質問が続出するようになりました。学年8クラス、320人の生徒たちのこの変化は大きなインパクトになりました。

 依頼を受けた専門学校にもこのワークシートが役に立ちそうだと思い出しました。それに伴う「担任的な仕事」の理論・スキル、そして醍醐味を伝えようと考え始めました。とはいえ、20年前のワークシートは探してみたのですがデータとして保存してありませんでした。当時はまだ手書きだったからです。やむなく再現することにしました。何と、20分程度でワードで再現できてしまいました。我ながら「良い記憶力」です。(笑)。これを中心にこの専門学校向け講義動画が完成しました。当日が楽しみです。

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