【授業研究】授業改善の継続支援をしている学校に対しては全てを私が指示しているわけではなく、かなりの部分をコアチームに任せています。従って、個々の学校の動きはだいぶ異なってきます。ある学校では「3週続けて年齢別グループで振り返りをしたい。クリティカルフレンドで気づきを深めたい」とのリクエストがありました。
コアチームの一部の人たちには「クリティカルフレンド」という質問中心に問題を解決していく方法を教えていますから、それを気に入ってくれたようです。それはうれしいのですが、1年間の振り返りをするという点では少し気がかりが出てきます。反省を迫られるような気分になると暗い・思い気分になりがちだからです。
そこでそうならないように考えた「ワークシート集」をつくりました。「ワークシートを用いたグループワーク」を作り始めたのはもう20年ほど前。キャリア教育をテーマにした「総合的な学習の時間」のプログラム開発担当になったのがきっかけでした。
元々はSGE(構成的グループエンカウンター)をやろうとして担任団に提案したのですが、最初のワークを提案したところ一斉に「ノー」。「進め方がわからない」「訓練受けたことがないから不安」「イレギュラーな生徒の反応に対してどうしたらいいかわからない」‥なるほど、それはごもっとも。
そこで「特別な訓練を受けたことにない担任でも安心して実施できる」「担任の準備がほとんどいらない」「生徒たちが楽しんでやれる」ようにしようということになりました。これはとても楽しいチャレンジでした。これを「ワークシートを用いたグループワーク」と言っていました。先生たちは、直前に5分間ワークシート(時にはマニュアルあり)を見れば、50分間の授業を安心して進められるようになりました。
この経験があるので今回もコアチームの皆さんが読み込んだりする手間がかからず、当日配布すればスムーズに進行し、グループで話し合う先生たちが楽しんで進められるようにしたいと思いつくりました。ワークシートは3週間分で5枚、それを書くための「ヒント集」は14ページ。ヒント集の大半はこれまでの講義等の要約です。
以下は先生たちのリフレクションの抜粋です。
「今年度の自分の授業をふり返ることができた。生徒達も自分自身も来年度を楽しみに思えるようなかたちでしめくくりたいと思えた」
「授業改善という名目から何か大きなことをしないといけないと漠然と思っていたのですが、グループでの対話を通して「授業が始まる前に早めに教室に入る」など、小さなこと、些細なことでも構わないということが分かったうえに、そう考えると自分にもできていることがいくつもあったんだと嬉しくなりました」
「アラフィフ世代です。慌ただしい,学校再開でしたが,今にして思うと,小林流のアクティブラーニングを行うきっかけになりました。毎回の授業で,説明が少なくなった分,教科書の進度は予定より早いです。教科書2章分位進んでいます。振り返りシートも習慣化されました」
「楽しく、前向きに話し合うことができた。学校では、授業が第一。それは生徒も教員も同じ。生徒も教員も含め、学校全体で「ワクワクできる時間」を増やしたい」
「前向きに話し合うことができました」
「シートAで1年間取り組んできたことをふり返ってみると,多くのことを実践しようとしてきたことに気がついた。このように振り返る時間がないと,言語化する機会もないと感じた。自他の実践を言語化し,共有することで参考になることが増え,よる具体的な実践ができるようになるのではないかと感じた」
「シートBについて「生徒がどんな社会人になって欲しい」との質問についてグループで話した。全員一致したことは「幸せになって欲しい」だった。幸せとはどのような状態かという話は普段しないような話なので面白かった」
以上のコメントを読んで成果は上々とうれしくなっています。久々の大量のグループワークのための「ワークシート集作成」でした。随所にカウンセリング、コーチングなどの理論や技法を組込んでいます。今回は「トヨタの技法」も採り入れました。さすが世界のトップ企業のノウハウです。役に立ちました。このワークシート集は、来年は他の学校にも使うことになりそうです。
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