次のオンライン連続講座のテーマ(1)

【授業研究】「みんなのオンライン職員室」の連続講座「小林昭文ALゼミ」は10~12月でひと区切りして2月から新しいタームが始まります。年末にその打ち合わせをやりました。私のモヤモヤを言語化でき、新しい講座の構想が見えてきました。これは新講座の構想だけに留まらず、現在進行中にの講座や継続的に支援している学校への対応方法、そして新規に企画しているプロジェクトにもつながる私の考え方の前進です。少し丁寧に述べていきます。

 私のモヤモヤは「私のオンライン講座は役に立っているのだろうか?」です。それは確かに多くの方が参加してくれます。毎回出席の方もいらっしゃいます。アンケートは好評です。でも、「役に立っているのだろうか?」と気になります。

 このモヤモヤは授業改善がテーマになって様々な動きが広がり、私も多くの場で登壇させていただいた数年前から続いていることともつながります。「あれ?」とお感じの方もいらっしゃると思います。私は「授業改善をテーマにする動きが広がった」と認識していますが、世の中的には「アクティブラーニングが流行った」だろうと思います。そもそもここからは私はずれているのかもしれません。

 私は教員になって「荒れる学校」に勤務して、「授業中は寝るか遊ぶ」のが常識だった学校の授業改善が最初のテーマでした。その学校で誰も寝ない授業を作りました。その後、進学校に異動してそこに合う授業を模索し続けています。「生徒が寝なくて、楽しめて、成績が上がる授業づくり」=「授業改善」は教師の仕事の一丁目一番地という意識でした。教師としての当たり前の仕事でした。

 その改善の積み重ねの中で2007年度に転勤した「進学校」で求められた「成績を上げろ、選択者数を増やせ」に対して「仕事」として取り組みました。ただ、カウンセリングやキャリア教育、様々なビジネス理論、OECDの動きなどは知っていましたし、文科省経産省厚労省が出す国の動き応えるのも公立学校の教員としては当然のことと理解していました。単に成績を上げるだけではいけないと考えていました。

 それらを考えて始めた高校物理授業が世間から注目されました。いつの間にか「アクティブラーニングの伝道師」「アクティブラーニングの第一人者」と言われるようになりました。私はこれに迎合しませんでした。私は「授業改善」をし続けていただけです。空手の恩師に教えてもらった名言が心の支えでした。

 「汝の道を進め。而して人々を彼等の言ふに任せよ!」。ダンテの「神曲」の一節が出典ですが、私はマルクスの「資本論」の一節として教えてもらいました。ある方が「そういえば小林さんはアクティブラーニングという言葉を講演でも著作でもほとんど使わないですね」と指摘してくれたことがありました。その通りです。私にとってはこの「流行り言葉」とは無関係にただひたすら教師の仕事は「授業改善」にあると信じているからです。

 そして、エドガー・H・シャインの言葉も胸にびきます。彼は「‥問題は永久的に解決されるわけではなく、単に改善されるだけだ(※1)」、と述べます。つまり指導者(※2)の役割は質問に来る人(学習者)たちに「永久的な解決となる答え」を与えることではなく、その役割は「学び方を学ぶことができるように支援すること。つまり新しく問題が起きた時に、彼ら自身で対応できるようになるということだった(※1)」と述べています。

 話が横道にそれました。でも私にとっては重要な確認事項です。もう少しお付き合いください。[この項続く]

※1「対話型組織開発(ジャルヴァース他・中村和彦訳/英治出版)」p-24
※2  シャインは「コンサルタント」と「クライアント」と述べていますが、文脈に合わせて、小林が「指導者」と「学習者」と書き換えました。 

※秋から継続しているオンライン連続講座の案内は以下です。
◎「みんなのオンライン職員室」はこちら→ https://minnano.online/
◎「Find!アクティブラーナー社」はこちら→https://find-activelearning.com/
◎「アクティブラーニング入門3(小林昭文著/産業能率大学出版部)」は
  こちら→https://www.amazon.co.jp/dp/4382057744/

f:id:a2011:20200204054022p:plain

◎お問い合わせ、研修会講師等のご依頼はこちらへとうぞ。
  →akikb2★hotmail.com ★をアットマークに替えてください。