臨機応変(2)

【授業研究】昨日(2020/9/22)の記事に私がオンライン研修会講師を務める時の「基本パターン」と「基本スキル」を示しました。特に、ブレイアウトルームの際にルームをビデオオフ、マイクミュートで短時間見て回るという「基本スキル」は他の講師の方はあまり実践されていないようです。

 このファシリテーション・スキルは対面型授業を開発している時にその必要性を感じて編み出したものです。その原型は構成的エンカウンターグループのファシリテーションスキルにあります。「声もかけず目も合わせず、短い時は10~20秒で通り過ぎる」のは私自身による改良です。

 あるときのオンライン研修会の際にもこの「巡回」をしていました。いつもなら事前視聴用動画やスプレッドシート等の仕掛けにより、ブレイクアウトルームは話がはずみます。(しばしば「ブレイクアウトルームは沈黙の行進で嫌だった」の声も聞きますが、これは事前の非同期学習の構造に問題があると私は推察しています)

 ところがこの日はどうも話が弾んでいません。沈黙が続いているルームもあります。「変だなあ」と感じながら前半の質疑応答に進みます。いつもなら質問が続くのにその日は合間があります。あれ?という違和感が広がります。それでも予定時間まで質疑応答は続き休憩。

 ここで主催者の担当者と電話で相談。「どうも活性化しない。やり方変えてもいいかな?」「お任せします」。これで方針変更決定。ブレイクアウトを覗きに行くのを短時間で終了して質疑応答の方法を変えるための準備をします。

 全員がメインルームに戻ったところで「次はスプレッドシートに書いている質問やコメントを私が拾って質問をしてもっらたり、私がコメントしたりしますね」と宣言して、「ではAさんこの質問についてもう少し詳しく話してください」と振ります。するとAさんがより詳しい説明をした上で質問をしてくれます。こうして後半の質疑応答の時間を沈黙の時間を入れることなく終了しました。

 終了後、担当の方は絶賛してくれました。「私はいつもより盛り上がらないような気はしていましたが、それほどの問題とは感じていませんでした。更に方法を変えるなど想像もしませんでした。でも変えたら活性化しましたよね。驚きました。臨機応変に対応してくださってありがとうございました」。

 たぶんこのことが対面型グルプワークのファシリテーションを鍛えているかどうかの違いになるのだと思います。「デジタル・ファシリテーション」の言葉も出てきています。内容に私も興味津々で学び始めています。しかし、基本は「対面・リアル」のファシリテーションスキルであり、場を見て・場を感じる力が大切なのだと思います。

 オンイラン授業の必要性が広がる時代だからこそ、授業者の皆さんには「対面・リアル」の授業を大切にしてほしいものです。

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