【授業研究】(ネタばれ注意)仙台往復、名古屋往復、桑名往復の時間で「シャーロック・ホームズ対伊藤博文(松岡圭祐著/講談社文庫)」を読み終えました。シャーロック・ホームズはモリアーティと闘い、共に滝壺に落下して死んだと思われる場面で最終回となり連載は10年間途絶えました。
10年後に再開されたこの物語は、シャーロックが亡くなってから3年後の復活の場面から再開されます。その3年間にシャーロックがどこで何をしていたかについては、本人が、アジアを旅していた、ダライ・ラマに会ってきた程度しか明かしていません。
この「シャーロック・ホームズ対伊藤博文」はモリアーティとシャーロックの最後の闘いの最終場面から始まります。
滝壺に落ちることなく生き延びたシャーロックは、紆余曲折を経て日本に現れます。日本でシャーロックは伊藤博文と再会します。この背景にある少年時代のシャーロックと長州藩の伊藤春輔(のちの博文)は明治維新前にロンドンで出会っていたことになっているのも、楽しいところです。
この時、日本では大事件が起きます。その事件が元になり、日本とロシアが戦争直前になるほどの国家的な危機に発展します。この危機から日本を守るために2人は大活躍します。開国間もない日本を守るために伊藤博文たちが命懸けで奔走する姿は、事実でないものの、その精神はそのままに描かれている気がします。その点では「坂の上の雲」を読んだ時のような感動を味わうことになりました。
そしてロンドンに戻ったシャーロックは、変装してワトソンに会い、素顔を見せます。驚いたワトソンは気絶してしまいます。‥‥というこの本のラストは、10年間の連載途絶ののちに復活したこのシリーズ冒頭部分と全く同じ描写になっています。
実に楽しい小説でした。この作家のおかげで出張の際の移動時間がとても楽しくなりました。この作家の作品は本棚にたくさん並んでいます。遠出の出張が楽しみです。
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