グループワークに介入はダメ!?(4)

【授業研究】「グループワークをやらせるときは指導者(授業者)はフロアを動いてはいけない。教室の隅から眺めているだけにするべきだ。先生がウロウロすると生徒たちは先生が近づいてきたから手をあげて発言したりするからだ」という意見について考察しています。

 その背景等については2020/7/29の記事を参照してください。今日のテーマは以下です。
(4)この授業スキルを生徒指導スキルに敷衍すると更に問題が拡大する。

 この指導方法を論理的に考える方法の1つが「生徒指導の場面に敷衍して考える」と言う方法です。「主体的・対話的で深い学びの実現」は新学習指導要領の総則に示してありますから、その精神は教科授業のみならず、全ての教育活動も適用されることになります。となれば、授業者スキル(教科指導のスキル)と担任・生徒指導スキル(担任や部活動指導などの生徒指導場面に必要なスキル)は理論的にも具体的なスキルとしても統一されるべきです。

 この視点に立ってこの「グループワーク中は介入しない、近寄らない」を考えてみます。約1時間、生徒たちに何かをやらせて何も言わないという生徒指導や部活動指導が成り立つかです。「生徒が評価されることを意識するから近づかない」という担任の指導が成立する場面はそれほど多くはないはずです。

 例えば、遠足などで長時間生徒たちと一緒に歩くときに、この指導をするはずはありません。多くの場合、先生は生徒たちと一緒に歩きます。色々な生徒に近づき声をかけ、雑談しながら歩きます。気になることがあれば質問します。誰かが遅れていたら「大丈夫かあ」と声をかけたり、「誰か一緒に歩いてやれよ」と指示するかもしれません。転んだ生徒がいれば真っ先に駆け寄ります。

 「黙ってみている。近寄らない」指導が成り立つわけがありません。先生が近寄るのを生徒たちが嫌がられるようなら担任失格です。生徒指導では先生が一緒にいても生徒たちが緊張しない、喜んでいる、ことが必須です。この関係性を教科指導の場面でも敷衍するべきだと私は考えています。

 この考え方は新学習指導要領実践において役に立つはずです。[この項終わり]

 

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