スーパーバイズの指針が見えてきた?

【授業研究】遠隔地にお住いのAさんが上京してくれたので、久しぶりお会いして授業改善について話し合いました。Aさんが担当している教科は文系なのですが、それについてみて欲しいということなので、様々な資料を持ってきてくれました。その中で、私が最近こだわっている「授業者スキル」の体系化が役立つことを発見しました。

 Aさんの抱えている問題は「成績上位者は伸びているが、下位層も一定数存在しているので、これを減らしたい(成績を上げたい)」です。私のように「グループワークを中心に据えて基礎基本の習得を図る」授業なので、私が今中心に研究している授業モデルとも合致します。

 普通はこの種の授業ではまず「下位層の成績向上」が実現します。その理由は下位層はこれまで1人でやっていたのでわからないことを乗り越えられないでいた。その積み重ねで自信喪失、意欲低下などが起きていたと考えられます。

 その次に「上位層の成績向上」が起きると良いのですが、多くの授業ではここが壁になります。その理由は「課題が易しすぎる」ことにあります。要するに「下位層は救われた」けれども、「トップ層が結果として見捨てられている」可能性があるからです。これは上位層が「背伸びとジャンプ」をしなくてはならない課題設定と少々短めの時間設定で乗り越えることができます。

 Aさんの場合、上位層は伸びています。課題の難しさは適切と言えそうです。実際に資料を見ても、うまくできています。では下位層が伸びないのはなぜか?上記の仮説から推測すると、下位層にとって「安全安心の場が十分に確保されていない」「安全安心の場が確保されていないから、自信回復・意欲向上が担保されていない」などが起きているのではないかと推測されます。そこでこの仮説に沿って質問をしていきます。

 するとその推測通りの構造があることが見えてきました。そこが「問題の本質」だと仮定して、解決策はどんな方法があるかを一緒に考えていきます。この段階では色々なアイデアを出して、その中から実現可能な方法を絞り込んでいきます。ここで「負担軽減」も重要な柱です。手間暇かかる方法は捨てていきます。

 この結果、かなり具体的な授業改善策ができあがりました。あとは何か月か実践してもらって下位層が減り、上位層が維持または増加すれば成功したと言えそうです。成果が楽しみです。その期間にAさんに必要なのは「上位層への難しめの課題設定・短めの時間設定」を維持しながら、「下位層の安全安心の場を維持するしくみ」をつくることです。更に「わからない、教えて」などの自己開示ができ、「チームで協力」を促進するための「活動中の質問による振り返りの促進」を続けることが必要になります。当然「活動後の振り返りを書かせる」ことも不可欠です。これらを整理したAさん用のチェックリストを作成しようと思います。

 このプロセスはカウンセリングというべきか、スーパーバイズというべきか悩みますが、「授業者スキルの体系化」が見えつつある私にとって「面接指導」の方法がだいぶ明確になってきと言えます。この方法を私がもう少しブラッシュアップしていけば、誰にでもできるスーパーバイズの方法を作成できそうです。いずれはワークシートに落とし込みたいと考え始めました。

 私の研究とトレーニングにとても役立つ事例を持ってきていただいたAさんに感謝感謝です。

◎この方法を考える私の土台を書いた本です。

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