【授業研究】研修会の質疑応答の中で、「失敗した体験を教えてください」と言われて、返事に一瞬困りました。同時に、そういう質問する人の意図を知りたくなって、「それを聞きたいのはなぜですか?」と逆に質問しました。その返事はあまり要領を得ませんでしたが、一応、試行錯誤の途中でのエピソードを「失敗体験」として回答して収めました。
終了後、別の人たちと質問に答えたり雑談したりしている時に、その時のことが再び話題になりました。ある人が「小林さんが回答に困った理由は、小林さんは実は失敗したなんて思っていないからでしょ」と発言しました。
これは、どきっとしました。その通りです。私は自分の授業研究の過程で「失敗した」と落ち込んだことはほとんど覚えていません。「この方法ではうまくいかないから、他の方法を試そう」と思うだけです。更には「今日はうまくいかなかったけど、もう少し繰り返してみよう」と思うこともしばしばでした。うまく行った時の「成功」の実感もそれほどはない気がします。「今日はそのやり方でうまくいった」としても、「次には、うまく行かないかもしれない」と思っています。「もっと繰り返してみないと、どの条件で成功するかは、はっきり言えない」と感じていたりします。
たぶん、これは物理学科で科学者として受けた訓練のおかげです。エジソンが「私は失敗したことはない」と言ったり、「成功するまでやり続ければ失敗はしない」と言われたりするのと、同じ精神なのだと思います。だから、私は「失敗した経験を教えてください」という質問に答えるのが苦手です。(笑)