生徒に「自分たちだけで考えさせてくれ」と言わせたい。

【授業研究】最近、あわただしい生活が続いていて、研修会でいただいたリフレクションカードを読むのも遅れがちです。少し前の研修会のリフレクションカードを読んでいて、にやりとしたのが、冒頭の記述です。
 これは研修会の中で私の経験を話したことが下敷きになっています。私が新しい授業を展開し始めるとすぐに、3年生たちが放課後、物理室に集まって自主的な学習会が始まりました。「物理の時間と同じように、模造紙に書いたり、しゃべったりして勉強したい。そのほうが楽しいし、アタマに入る」というのがその理由です。
 その様子を見ていると、1つの問題にいつまでも堂々巡りしているグループがいました。問題をちよっと勘違いしているのです。それに気づけば簡単に解けます。そこで、私は「あのね、ここを見落としているんだよ」と解説しました。「あ、そうなんだ」「ふーん」と言いながら生徒たちはなんだかつまらなそうです。「え、どうして?」と質問すると、「だって、話し合いが終わっちゃったから」「そそ、話し合いながら考えているのが楽しかったんだよね」「この結論に自分たちでいきたかったなあ〜」「もう少ししたら行けたかもしれないのになあ〜」‥。
 私はなんだかとても悪いことをしたような気になってしまいました。こんな場面でどうしたらいいか‥。考え続けて編み出した質問が、「手伝いましょうか?」でした。それで、「教えてください」と言われたら解説しようと心に決めました。この質問はとても有効でした。この質問をし始めてからは、「わかったけど、つまらない」と言われることはなくなりました。ただ、この質問をした時の8割ぐらいは「まだいいです。自分たちで考えます」という返事でした。最初は、ちょっと寂しい気もしましたが、それが生徒たちの成長なのだとうれしい気もしました。
 冒頭のコメントを書いた先生は、このエピソードが印象的だったのでしょう。うれしいことです。この先生が新しい授業に挑戦して、こんな場面が出現することを期待しています。