「感情の意識化」と「共感的質問」(2)

【授業研究】「共感的質問」の説明の前に「感情の意識化」について補足を2つします。これは「アクションラーニング(質問会議)」で学んだことと言うより、カウンセリングで学んだことを、私が意識的に応用していることです。
 1つは「感情的に話す」と「感情を話す」を区別すると言うことです。メンバーが「怒り」や「悲しみ」を露わにしていると、聞いている人たちはそれに飲まれてしまうことがあります。「かなり怒っているんだなあ」と理解しがちです。しかし、これは「推測」です。私はそれをきちんと質問することが大事だと思っています。
 「その時どんな気持ちだったのですか?」「今はどんな気持ちですか?」「○○さんに対して怒り以外の気持ちを感じることはありますか?」これらの質問は、相手が「感情的に語る」から、理性を取り戻して「感情を語る」ことを促す効果があります。しばしば、こういう質問の後で、「怒りだけではなくて、本当は寂しかった」などと、本人も忘れていた感情が吐露されることがあります。この種の質問をするときのコツは相手の怒りや悲しみなどの感情表出に左右されることなく、冷静に理性的に質問することです。
 2つ目は「感情以外に焦点を当てることもできる」ということです。私が学んだところでは「知情意」と教えてもらいます。つまり、「知=知識・考え」、「情=感情・気持ち」、「意=意志・意図」のことです。それを意識的に使い分けて質問をすると、相手の「知情意」を丁寧に確かめることができます。同時に相手が、それらを「意識化する」ことを促進できます。具体的には次のような例があります。
「その時、どんなことを考えていたのですか?」
「それを聞いたときにどんな気持ちがしましたか?」
「今、あなたが本当にやりたいことは何ですか?」
(この項続く)