「感情の意識化」と「共感的質問」(3)

【授業研究】前2回の説明で私たちが自分の行動の中身を自己理解するためには「感情の意識化」が必要なことは理解してもらえたと思います。ALセッションの中で問題提示者の感情に焦点を当てた質問が効果的になることが多い理由です。しかし、そこに焦点を当てているからといって効果が出るとは言えないのです。それは質問する人の「態度」によります。そこで「共感的な質問」が大事だということになります。
 すぐに理解してもらえることと思いますが、相手が自分に対して「冷ややかな態度」「批判的な態度」「見下した態度」で、「その時のあなたはどんな気持ちでしたか?」と質問されたとして、素直に自分の気持ちを語ることはできないものです。このことをカウンセリングの大家=カールロジャーズは「カウンセリングの基本的態度」としてまとめています。
それは簡単に表現すると「傾聴」「共感」「受容」などと言われています。
 アクションラーニングの世界ではそれを「共感的質問」と表現します。私はこれをロジャーズが言うようなカウンセリングに必要な基本的態度を重視した質問の仕方であると理解しています。つまり、「相手の話を徹底的によく聴き(傾聴)」、「相手の気持ちにできるだけ共感しようとしながら理解し(共感)」、「相手の言動に対してできるだけ無批判に受け止め(受容)」ていくことが必要だというわけです。
 そういう態度で質問できると相手は「自己開示」をしやすくなります。つまり自分の気持ちや内面を率直に語りやすくなります。そのことが「感情の意識化」を促進し、言葉にすることで「気づき」を得やすくなります。
 とは言え、これはなかなか難しいことです。そのコツについてもう少し補足します。(この項続く)