「次に何をするのかを言ってくれるので‥」(1)

【授業研究】研修会のリフレクションカードを読み続けています。しばしば出てくる「次に何をするかを言ってくれるので意識できてよかった」というコメントもとてもうれしいものです。

 最初に「目次」を示すのは当然のことなのですが、色々なワークを入れていくときに、次にどんなワークをするのか、その目的は何か、どんなことに気を付けてやればよいか‥などの説明をするから、参加した皆さんは「安心して取り組めた」「意欲的に取り組めた」ということのようです。

 特に簡単で効果的なのが「質問を増やすための説明」です。ワンウェイに近い形でやらざるを得ない場合でも私は次のようにします。

(1)パワポを使って説明する「ひとまとまり」を10~15分間にする。

(2)この時間はストップウォッチを使って、きちんと計測する。

(3)説明を始める前に次のように指示をする。

 「私の10分程度の説明終了後に、また今のグループで話をしてもらいます」

 「その時のテーマは、私の説明を聞いて〈印象に残ったことを共有する〉と、〈質問してみたいこと〉を共有する、です」

 「その時間は2分間です。そのあと質疑応答の時間を取ります」

 「では、始めます」(と言ってストップウォッチを押す)

(4)ひとまとまりの説明のあとは

 「では2分間話し合ってください」

 「時間です」

 「では、質問をください」と進行します。

 これにより質問がたくさん出てきます。その理由は以下にあると思われます。

(5)小林の話が終わったら「印象に残ったこと」「質問したいこと」を《話さなくてはならない》と意識するので、ほぼワンウェイに近い形での講義でも、意識的に取り組むことができる。

(6)2分間の「話し合い」の時間は「振り返りの時間」になる。自分が感じたことや気になったことを言語化する時間に、「振り返り」「気づき」が起きる。

(7)「質問してみたいこと」を話してみると、他の人が「それ私も質問したいと思った」「うん、私も気になった」などと言うので、自信をもって質問できるようになる。

 この効果はとても大きいものがあります。最近はどこの学校の研修会に行っても、 「こんなに質問がたくさん出る研修会は初めてです」「あの先生が質問するとは思いませんでした」などの声が上がります。

 ワークを全くやれない研修会でもこうすることで研修会の質はあがります。この方法は、高校・大学の授業でも使えます。「ワークをやることだけがアクティブラーニング」ではなく、生徒・学生に「印象に残ったことを話そう」と〈主体的に〉取り組ませ、他の人と短時間でも話すことで〈対話的な学び〉のきっかけをつくり、他の人の意見を聞いたり、他者の質問と回答を聞きながら〈深い学び〉を引き起こすことができるということです。

 授業者や研修会講師の皆さん、お試しください。(この項続く)

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