根本は「工業化社会」から「知識基盤社会」への変化

【授業改善の必要性2】まずは本質を端的に取り上げることにします。「授業改善」が必要になった根本的な原因は「社会構造の変化」です。
 1980年〜1900年ごろを境に、世界の経済的構造が大きく変化しました。これを「工業化社会」から「情報化社会」への変化と言います。「情報化社会」はのちに「知識基盤社会」と言われるようになりましたから、最近ではこの変化を、「工業化社会から知識基盤社会への転換」というのが普通です。
  この転換は働く人たちの働き方や生き方に大きな変化をもたらしました。例えば、「終身雇用制」「護送船団方式」が崩れました。「リストラが常在化」し、「非正規雇用」が大幅に増加しました。「未来に対して誰もが希望を持って生きていた時代」から「社会全体にリスクが広がり希望を持って生きられる人とリスクにおびえる人たち」とが分離し始めました。山田昌広はこれを「希望格差社会」と称しました。
  この転換は「社会が求める人材像の変化」を招きました。つまり学校教育に求められるものが変化しました。しかし、学校教育が世界中で整備された100年〜200年前は「工業化社会」のまっただ中でした。つまり、現在の学校教育システムは工業化社会に必要な人材を育成するために作られ、整備されてきたシステムです。これを切り替えることはそう簡単なものではないのです。
 「授業改善」の必要性は、この「工業化社会のシステムである学校教育」を「知識基盤社会に必要な学校教育システム」に変化させるためなのです。(この項続く)