「授業研究方法」のアイデア2〜「良い授業」を再現する

【研究メモ2】私はしばしば先生達に「生徒役としての授業体験」をしてもらいました。そこで「感じたこと」「考えたこと」などをポストイットに書き出してもらいました。多くの場合「生徒(役)として感じたこと」「教師として感じたこと」「(教師として)すでにやっていること、やってみたいこと」と3つに分けて書いてもらいました。
 この試みは「悪くはなかった」と思うのですが、「振り返り会」にあまり有機的につながりませんでした。「振り返り会」とは「ほめる」→「質問する」→「ラブレター」と進行する「授業者を傷つけない振り返り会/全員がヒントを得る振り返り会」のことです。
 そこで目的意識を明確にするために、「良い授業を再現する」ことを提案しました。例えば生徒役として「楽しく参加できた」なら、自分の授業でも「生徒が楽しく参加できる授業」を再現するにはどうすればいいかを考えてもらうことです。
  このためには、授業中に「何が起きていたのか」に目を向ける必要があります。そして「なぜ、起きていたか」に目を向けます。ここは研究過程ではなかなか難しい問題が見えてきました。「何が起きていたのか」はどの論理レベル(抽象のレベル)に注目するべきかが課題です。これはいずれ厳密に定義するとしても、実際には作業を手ほどきすると「何となく」理解してくれることもわかりました。
  難関は「どうすれば再現できるか」を考えてもらう段階でした。ここに手がかりが見えないのです。ここは「授業経験が豊富ではない大学院生諸君」と「授業経験が豊富なベテラン教師」の発言を比較しているうちに見えてきました。ベテランのみなさんは「教材はいいけど、使い方がイマイチだね」「教え方はうまいけど、生徒の様子を見ていないね」などと言います。つまり、ベテランは「授業を支える教師活動」の要素を経験的に分析し自分なりに把握しているのです。それを基準に他の授業者を評価しているのです。
 そこで、「簡便で、使いやすい」形で、その「教師活動を分類」すれば、考えるための手だてにもなり、話し合うための共通言語にもなると思いつきました。(この項続く)