【授業研究】1日空きましたが、テーマについて続けます。以下の順で述べています。
今日は「2」からです。
1 「新しい授業」を始めるのには、
「生徒役としての授業を受ける体験」が不可欠である。
(※この授業のことを「学習としての体験授業」と呼ぶことにします)
2 「学習としての体験授業」には必要な構造がある。
3 「学習としての体験授業」のあとに「振り返りと気づき」を促す構造が不可欠である。
-----------------------------------------------------------------------------------
2 「学習としての体験授業」には必要な構造がある。
頻繁に行われている「体験授業」は次のような構造です。
(1)授業者は「学校で実践している授業」をそのまま実施する。
(2)授業者はいつもの「授業者=先生役」を行う。
(3)参加者(概ね先生たち=大人)は「生徒役」として授業を受ける。
(4)時間は大半が40~50分間。生徒役の人数は20~40人程度。
この「体験授業」の目的は二重構造になります。
(5)生徒役として参加する人の目的は「新しい授業を体験的に理解する」。
それを通して自分自身の授業改善のヒントを得る。
(6)授業者の目的は「自分の授業の構造や効果を伝える」ことにあります。
欲を言えば、「参加者の授業改善の役に立つ授業体験にすること」です。
そして、イベント開催側の説明はおおむね「普段の授業をやってもらいます」「参加する人は高校生になったつもりで受けてください」などの説明をしています。
カウンセリングの学習を長年やってきた私にとっては、これは「ロールプレイ」です。カウンセリングの場合には「カウンセラー役」と「クライアント役」に分かれて、数分間~数十分のロールプレイを行います。周りには、必ず「指導者」がいます。更に同じクラスの学習者たちが一緒に見学することが普通の形式です。そして、終了後には指導者のリードによって、「振り返り」をします。「振り返り」については、「3」で述べることにしますから、ここではロールプレイのやり方について述べます。
普通、カウンセリング・トレーニングとしてのロールプレイでは以下のような指示が出ます。
(1)「カウンセラー役の人は、クラアント役の人が相談に来た相手」
という役(ロール)を演じてください。
例えば「教育相談室の相談係の先生」「職場の相談室にいるカウンセラー」
「町のカウンセリングルームにいるカウンセラー」などです。
(2)クライアント役の人はある程度の状況を設定してください。
例えば「友人関係がギクシャクしてしまって学校に来るのが辛くて、
退学しようかと考え始めた高校2年生の女子」などと設定します。
(3)どちらの役の人も「設定された役を演じます」が、その範囲内でやりとりは、
「あなたたちが感じたとおりに」行動してください。
例えば、カウンセラーに「友だちに何と言われたの?」
「その時、どんな気持ちになったの?」などの質問に対しては、
自分で状況を想像して、その時に自分が感じることを答えてください。
このロールプレイは、指導者が「はい、そこまでです」と終了宣言をするまで続けます。ごくまれに、ロールプレイをしている人が続けられなくなった時には、「これ以上、ロールを続けることができません。中断にしてください」と依頼することもあります。ロールで演じていたはずなのに、自分自身の辛い想いが出てきてしまって「涙が止まらなくなってしまう」などの場合です。
逆に言えば、それくらいロールプレイでは、そのロール(役)に集中します。「その人」になり切って体験することが、そのあとに続く「振り返り」と「学習」の質を大きく左右するからです。
このような視点に立っている私は、あちこちで行われている「授業体験」で行われる授業のやり方(構造)には色々な疑問があります。それによって、「学習効果が著しく低下している」と感じることがあります。その具体例については次回論じることにします。(この項続く)
◎今日のセミナーの詳細です。以下のURLからご確認ください。
・「アクティブラーニング入門6」授業改善と組織開発+模擬振り返り会体験
2018/1/28(日) 13:30~16:30 東京・恵比寿
↑定員を増やしました。定員まであと3名です。
http://www.kokuchpro.com/event/ALK0128/
◎小林のHPはこちら。研修会講師のご依頼もこちらからどうぞ。→http://al-and-al.co.jp
◎「入門2」はこちら→ https://www.amazon.co.jp/dp/4382057477