「大人を生徒役にして授業をするのが難しい‥」(1)

【授業研究】授業研究の方法で話し合っている時に、「この議論はずいぶん昔にもやったなあ‥」と感じた場面がありました。それは「授業体験による授業研究」です。
 私が提案している方法は以下です。(1)自分の授業を実施する人を「授業者」と言います。(2)その授業を生徒の役割で受ける人たちを「生徒役」と言います。(3)「授業者」は普段通りの授業を行います。(4)「生徒役」は普通に授業を受けます。(5)終了後、「振り返り」を行います。というシンプルな方法です。
 最後の「振り返り」の狙いは、「生徒役」の人たちが「生徒として感じたこと」を提示したり、「教師の立場で気づいたこと」を提示したり、「教師の立場で気になったこと」を質問したりしながら、「気づき」を共有していくことです。うまくいくと、「授業者」も「生徒役」も深い学びを得ることができます。
 私は研修会講師として入門講座では必ずこの「授業体験による授業研究」を入れます。この体験と振り返りの過程を通して気づいたことをもとに、翌日から新しい授業にチャレンジする方もいます。つまり、私にとっては、私が提唱するAL型授業の方法・効果などを「生徒役」の先生たちに伝達できるとても有効な「方法」なのです。
 ところが、この方法を実施しようとすると、なかなかうまく行かないのです。その理由の大半が、「授業者」が「生徒役相手に普段通りに授業を実施する」ことができないことが原因なのです。その理由には結構、深い問題が潜んでいるのではないかと思っています。(この項続く)