組織的授業改善がしばしば話題に‥

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【授業研究】最近、私の周辺では「組織的に授業改善に取り組まなくてはいけない」「どうすれば組織的な授業改善を進めることができるのだろうか?」と「組織的授業改善」の必要性や方法などが話題になります。とてもうれしいことです。ようやく人にわかってもらえるようになってきたか‥とうれしくなります。

 私が高校物理の大改革に挑んだのは2007年度のことです。並行して「授業研究委員会」に入れてもらいました。この委員会が組織的授業改善に本格的に取り組んだのは2008年度からでした。私はこの「個人としての授業改善」と「組織的な授業改善」があったおかげで色々な成果を挙げることができたと感じています。

 このことは「アクティブラーニング入門(小林昭文著/産業能率大学出版部)」を2015年に上梓した時にも冒頭で「授業改善と組織開発は車の両輪」と主張しました。その内容を詳細に述べた「アクティブラーニング入門3(小林昭文著/産業能率大学出版部)」(2019年発行)には研究授業等でそのまま使えるワークシートも付けました。しかし、それほど注目してもらえませんでした。

 最近、この「入門3」の読書会が立ち上がりました。私はこれに参加していませんがその読書会を受けてのオンライン研修会を次の日曜日に行うことになっています。今年度に入ってから新しい研修会の依頼を受けて打ち合わせをしても「組織的な授業改善」のことがしばしば話題になります。約10年前のことが忘れ去られるのではなくて、皆さんの必要性が高まっていることはとてもうれしいことです。

 約10年の間に研究も進みました。「入門3」にはそのことも書き加えましたが、それから更に進んだ実践を積み重ねることもてきました。今年度は5~10校の組織的な授業改善の支援をすることになりそうです。これにより実践的な研究はもっと進むと思います。10年前にはなかったツールも使えるようになったので、これにもワクワクしています。

 色々なことを発信したい気持ちが高まります。その場を多くの人たちや組織が与えてくれます。ありがたいことです。新年度が始まって1週間。とても良いスタートができた気がしています。

※昨年秋から継続しているオンライン連続講座の案内は以下です。
◎「みんなのオンライン職員室」はこちら→ https://minnano.online/
◎「Find!アクティブラーナー社」はこちら→https://find-activelearning.com/
◎「アクティブラーニング入門3(小林昭文著/産業能率大学出版部)」は
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講義動画作成構想

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【授業研究】昨日(2021/4/8)の記事に書いた「講義動画」を本格的に作る気になりました。大きな後押しになった2つの発言がありました。1つは継続支援している某学校の今年度の研修会についてのオンライン会議の中での発言です。

 「昨年の復習もして欲しいのです」。なるほど。それはそうですよね。でも、時間の少ない研修会の中で復習の時間は取りにくいものです。と言って、前回の事前視聴用動画をもう一度見てというと、「復習したいテーマ」とは別の内容もたくさんあります。それを20~30分間の動画の中から探し出すのは面倒なことです。それなら小テーマごとに講義動画をオンラインに置いておけば復習しやすいことになります。研修会の案内でも「このテーマの復習には〇番の動画を見てください」と表示しておけば良いわけです。

 もう1つは今、新しい動きのために集客や調整をしてくださっている会社の方から「それは宣伝活動の大きな武器になります」と言われたからです。それは確かにそうです。「小林さんはこういう人でして‥」とイチイチ説明するのは面倒ですし、なかなか伝わらないと思います。「こんな動画がありますから見ておいてください」と紹介すると楽です。実際、ある学校では校長先生が替わったので新しい校長先生と打合せを近々することになっています。それにむけて委員会の先生には私の動画を見てもらうようにお願いをしました。

 これらのことから動画作成の必要性とメリットを強く感じたので、作り始めようと思います。今のところ以下の分類をか考えています。
「A 簡単な自己紹介」「B 小林の実践紹介」「C 著作の紹介」「D 基礎理論」
  このそれぞれの大項目の中に小項目をつけていこうと思います。例えばAなら私が新しい授業改善にたどり着くまでにどんな学校でどんな仕事をして、何を学んできたかを紹介する項目を付けます。
A01「荒れる学校での生徒指導に役立ったビジネス理論」
A02「荒れる学校で学び始めたカウンセリング」
A03「カウンセリングで変わった生徒観・教育観」‥などという具合です。

 実はこの基になるパワポのデータと動画はすでにたっぷりあります。それは10月から4月まで担当させてもらっている2つの「オンライン講座」用の事前視聴用動画です。毎回30分前後の動画を作成しました。月に2つの講座を6ヶ月続けましたから、2×6×30分=360分=6時間ですから、6時間程度の動画のためのパワポデータはすでに作成済みということです。他の講座のために作成した動画のためのパワポもこの1年間でかなりたまりました。小分割すれば講座用には簡単な説明に留めた個所をより詳しく説明することもできます。

 この1年間、オンライン研修会のたびごとに事前視聴用動画を作成してきたことが、こんな風に結びつくとは思いもよらないことでした。イチから作るとなればどんなに意味のあることでも挫けます。これだけの素材があればどんどん作っていけそうです。作ったら、このブログの読者の皆さんにはご案内するつもりです。お楽しみに。

 その前に急ぎの動画作成があるのですけどね‥汗汗

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新年度の慌ただしさ?

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【授業研究】高校教諭時代は4/1に各種会議が1日中続き、翌日から様々な活動が始まります。その意味では年度初めの雰囲気を感じるスタートでした。フリーランスになってからはそれはない‥と思っていたのですが‥昨日(4/5)はそれを感じる慌ただしさでした。

 たぶん先週の段階では今週の予定は空白だらけだったはず‥。先週末から土曜日にも日曜日にも、新年度の講師依頼メールが入ります。半分は年度内に日程は確定していたものなのですが、年度が替わったので打ち合わせのZoom会議依頼が続々と入ります。その一方で楽しみにしていた来週の鹿児島行きはコロナ禍のせいで、またオンラインに変更の連絡も入ります。その空白になった1週間にもいくつかの会議が入ってしまいました。

 昨日1日でこなした会議の結果、研修会用の動画作成の宿題も新しく入ります。元々予定していた今週中に完成させなくてはならない動画編集の宿題もあります。のんびりしていた私にも「新年度のあわただしさ」が波及してきた感じです。面白いこともあります。

 色々な学校からの依頼の中には、この時期のことですから「新任のための講義もして欲しい」という依頼があります。これはすぐにできそうです。というのは昨年も同様の内容の事前視聴用動画を作成しました。動画そのものをそのまま使いまわすことはできませんが、pptのスライドを少し手直しして音声を録音し直せば簡単にできます。今年は「学校名」を抜いて、どの学校にも対応できるようにしようと思います。その全体に共通する動画を作成して、別動画として中学校用・高校用の補足をつくろうと思います。こうしておけば、何度も学校ごとに作り直す必要はなくなります。

 自己紹介も「簡単な自己紹介」と「詳しい自己紹介」に分けようと思います。「著作紹介の動画」も別に作成して、それぞれの本の内容を紹介する動画を作ろうと思います。中田敦彦氏のような「先生のための本の紹介動画」をつくるかもしれません。これらは、いわゆるコンテンツ・ビジネスへの挑戦ということになります。

 これらができるのは去年からのコロナ禍のおかげです。昨年5月から、オンライン研修会に対応せざるを得なくなり、この1年間動画を作り続けてスキルを磨いたから「できること」です。昨年の今頃には想像もできないことです。その基礎ができたので新しい発想もできます。新しいツールもあります。急にアタマがしゃきっとしてきた気がします。フリーランスにも「新年度の慌ただしさ」がありました。

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契約が終了した学校からの依頼

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【授業研究】私は昨年4月からフリーランスになって以来、自由な生活を楽しんでいます。65歳を過ぎるとこの表現はなかなかビミョーです。フリーランスなのか、ただの「退職後の無職状態」なのか区別しにくいからです。1つの区別が「仕事のあるなし」になります。仕事があればフリーランス、仕事がなければ「退職後の無職状態」と区別するのでしょう。

 年度替わりに向けて今年度の仕事の話をいただいていました。「翌年度の契約の話がくるとほっとするのですよ」と昔、フリーランスの知り合いからよく聞きました。その気持ちがわかるようになってきました。

 4月になってこの数日、具体的な講師依頼が次々に舞い込んでいます。年間契約をしているところから日程調整の連絡が中心ですが、新しい仕事の依頼も含まれています。この仕事の依頼がなくなれば「フリーランス」転じて「退職後の無職」になりますから、これはうれしいことです。アイデンティティーを左右することにもなります。

 そのうちの1つはちょっとうれしい依頼でした。それは、昨年度末で公費のアドバイザー契約が切れた学校からの依頼です。教育委員会の予算が終了し、契約更新ができなかったということです。少し残念でした。

 その学校からの依頼内容は「昨年度の続きをして欲しい」というものでした。「総合的な探究の時間」で異なるテーマを持つ生徒たちの指導に担任の負担は増加しています。それは1人1人の研究内容(コンテント)に先生たちが手を出すからです。そうではなく学習過程(プロセス)を支援すればよいのです。

 これにより負担軽減だけではなく、生徒たちの「対話の質」が向上し、主体的な学びの質も向上します。その土台にあるのが「対話のスキル」、特に「質問のスキル」です。この考え方とスキルは教科授業にも役立ちます。昨年度はこのための新しいトレーニング・メソッドを開発してあちこちに提供してきました。その続きをやって欲しいというのが依頼の内容です。

 このように私がやっている内容を必要だと評価してくれて依頼があるというのがうれしいことです。設定された時間は短いのですがリクエスト内容はたくさんです。昔なら「とてもできない」と匙を投げるところですが、この1年間で動画を使う方法を手に入れました。これはコロナ禍のおかげです。この学校に昨年までより質の高い研修を提供できます。これが続けばいつまでも仕事をもらえて、「フリーランス」でいられることでしょう。「変身資産」を鍛えることが、「生産性資産」を高め、「活力資産」も高めることになります。こんなことも現場の40代以上の先生たちに伝えていきたいものです。

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現役時代のような感じ

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【授業研究】色々なオンライン講座を担当していますが「みんなのオンライン職員室」の講座は2期目。ここの面白さは受講生だった方が次の世話役になってくれることです。現在は前の世話役の方と新しい世話役の方のお2人です。2人とも教員です。

 主にこのお2人と私とで講座の仕組みを考えていきます。というより、お2人からのリクエストに応じて私のできることややりたいこととすり合わせをしていく感じです。その結果、第2期では「誰かの問題をみんなで考える」ことにしました。質問を中心にして考えるために色々な工夫をしていますが、内容としては「生々しい現場の問題」を取り挙げています。問題を提示した人が質問に答えながら問題を明確にできたらひと区切りです。そのあと私がアドバイスをしたり、質疑応答をしています。

 このやり方は良い意味で「教師中心」です。教師が集まって、自分たちが受けたい講座を自分たちと講師と一緒になって考えていくわけですから。私にとっても「みんながそれに興味があるなら、そうしましょう」というのがニードに対応している気がします。その結果、現在進行している第2期は、第1期とは内容も進め方も全く異なるものになっています。それを皆さんがとても楽しんでいるように感じます。

 何回かやっていくうちに、現役高校教師の時にやっていたこととほとんど同じことをしている感じがしてきました。私は校内では教育相談の係でしたし、全県の研究会の事務局長も務めていたので、校内外の様々な問題の相談を受けていました。カウンセリング対応をする、専門家にリファーする、スーパーバイズをする、コーチングをする‥実に多様な役割をこなしていました。4階建ての特別棟の4階の隅の物理準備室はその場としては最適でした。

 今はこれをオンラインで簡単にできるようになりました。1対1でもできるし、グループでもできます。おかげで私は現役の時の感覚のまま、皆さんと話をしています。それが多くの人たちのお役に立っ立てることもうれしいことです。

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PDCAと演繹型思考

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【授業研究】昨日(2021/4/2)の記事は好評だったので気をよくしています。内容は「PDCAよりコルブの学習サイクルを大事にして欲しい」ということでした。その背景にあるもう少し深い問題を、少しだけ提示しておきます。
 私が言いたのは「PDCAがダメ」というのではなく、その根底にある「考え方」を意識してほしいということです。PDCAは「未来の目標」を設定して、そこから現在に向かって逆向きに「中目標・小目標(またはマイルストーン)」を決めていきます。こういう考え方を「演繹的思考法」といいます。一方、現在を基に少し先を予測しさらに進めてより遠くを考える考え方を「帰納法的思考法」と言います。科学的思考法とはこの両者を意識的に併用することと言うこともできます。
 世界では時代遅れになっているPDCAを日本は、特に文部科学省が使い続けるのはその考え方に問題があるからだという指摘もあります。そうであるならば、PDCAしかしらず、PDCAだけの世界に居続けることは、知らず知らずそういう世界観・思考方法に染まる可能性があります。別の意見にも耳を傾けたいものです。
 このことを指摘し続けているのは刈谷剛彦氏(オックスフォード大学教授)です。拙著「アクティブラーニング入門3」のp-128では以下のように紹介しました。

【引用開始】
28 ワンウェイ授業とベテラン教師は悪者?
〈斬新なスローガンと古典的思考方法〉
 「主体的・対話的で深い学びの実現」という斬新で素晴らしいスローガンは、その斬新な表現とは裏腹に現場では古典的な思考方法と組織論が蔓延(はびこ)っているようです。以下はオックスフォード大学教授・刈谷剛彦氏の意見です。「大学」を「高校・小中学校」と読み替えても通じます。
 現在、日本の大学人は教育改革に振り回され疲れ切っている。その原因は理念と現場のギャップであり、その根底にあるのは思考形式の違いにある。改革を進める側の思考は明治以降継続している「演繹型の政策思考」である。先進諸国の制度や理念を抽象的に理解し、その翻訳と解釈を基にして「現状を未来に進めるべき」という演繹的思考が根底にある。
 しかし、科学的思考は「現実を基に考える帰納的思考」と演繹的思考の両方を用いるべきである。この思考方法の偏りが現在の混乱の根本原因である。(※1)
 「理念と現場のギャップ」を古典的な「演繹型の思考」で埋めようとするか、「現実に基づいた帰納的思考」で埋めようとするかは大きな違いを生みます。この点で気になる事例を三つとりあげて論じます。一つは私の授業改善の方向は単なる「授業改善」であったこと、他の二つは演繹型思考がワンウェイ授業とベテランを悪者扱いしていることについてです。(※1 日本経済新聞2019/4/9朝刊の刈谷氏の投稿を筆者が要約)
【引用終了】

 刈谷氏の最近の著作としては「コロナ後の教育へ(刈谷剛彦著/中公新書ラクレ)」(※2)が良くまとまっています。文科省の資料だけを読んでいると気が付かない思考の盲点を鋭く指摘してくれています。おススメです。その中の一節を引用します。

【引用開始】(※2)p-106
   このような「入試改革」には中途半端な演繹による理想の実現という、政策決定に埋め込まれた思考の習性(クセ)が顔を出していた。入試を変えれば授業が変わる→授業が変われば「発展的に自分の考えを形成する」力が育つはずだというエセ演繹型のこうした危うい推論が、改革の土台を支えていた。実際に学校現場でどのような授業が行われ、そこで生徒たちが自分の考えをどのように発展させているのかを具体的な事例から帰納的に考えるのとは正反対の発想である。【引用終了】

 皆さんがPDCAだけではなく、コルブも意識してみることで、考え方が柔軟になり、行動の幅が広がることを期待しています。 

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オンライン授業等の作り方(4)

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【授業研究】第4日のテーマは「体験から学ぶことの大事さ」です。世の中はPDCAばやりですが、「コルブの経験学習モデル(学習サイクル)」という考え方もあります。「アメリカのトップ企業はPDCAなんて使っていない。コルブの方が変化の激しい時代にはマッチしている」という意見もあるようです。(※1)

 私は2000年ごろにコルブのことについて知り、その後、キャリア発達理論やアクションラーニングを学びながら、ますますコルブに惹かれました。2007年度から始めた「新しい高校物理授業」は「生徒たちのアタマの中でいかにコルブのサイクルを回せるようにするか」がテーマだったと言っても過言ではありません。

 PDCAとコルブの違いは2つあると思っています。1つは「スタート前の計画の緻密さの有無」です。2つは「サイクルの長短の違い」です。これらが「オンライン授業の作り方」にも大きく影響します。新しい世界でもあり、色々なツールが次々に出てくるという意味で変化にとんだ世界でもある「オンライン授業等」に取り組むには、コルブの考え方をする方が効果的だと思います。

1 計画立てる時間に「やってみる」。
  PDCAの考え方を重視すると
 最初にやらなくてはならないのはP(プラン作成)です。 
 やったことがないことをやるためのプランつくりは困難です。
 書籍を集めたり、先行 文献を調べることになります。
 それだけで何日か過ぎるかもしれません。
  それよりお勧めは「まずはやってみよう」です。
 どこからでも良いのです。「パワポに音声を入れる」
 ことにチャレンジするのも良いし、その関連のYouTubeを視るの
 でも良いと思います。
 隣の席の若い人に「あなたはどうしているの?」と尋ねること
 から始めるのでも良いと思います。
 おそらくPDCAではこれらはP(プランを作る)にも
 なっていないのでしょうが、
 コルブではすでに「体験する」が始まっています。

2 振り返りましょう。
  少し行動・体験したら「振り返り」ましょう。
 半年1年たってから「振り返る」感のあるPDCAと異なり、
 コルブは「すぐに振り返ります」。やっている最中の  
 振り返りも大事にします。
 「振り返りの視点」と「振り返りのタイミング」が
 それぞ れ2つあります。これを覚えておくと役に立ちます。

3 2つの振り返りの視点
  「内容(コンテント)」を見る振り返りと、
  「過程(プロセス)」を見る振り返りです。
  例えば「パワポに音声を入れる方法のYouTubeを見て振り返る」
  とします。「内容」に対する振り返りは、「音声の入れ方」
  の何がわかったかです。
  「今自分が持っているソフトでできることがわかった」
  「新しい道具を買わなくても今持っているマイク等で
   できることが分かった」などのことです。
  これを「気づき」と言います。
  「過程(プロセス)」に対する振り返りとは自分自身の気持ちの変化です。
  「ちょっと安心した」
  「ドキドキしたけどYouTubeは意外に簡単だ」などを
  「意識すること」です。

4 「次はなにをしようか」を考えます。
   理論的にはこのプロセスが「抽象化・一般化」などと難しげですが、
  上記の「気づき」を基に「次はどうしようか」を考える段階のことです。
  「新しい道具を買わなくて良いから、このYouTube動画を最後まで見よう」
  「見終わったら試してみよう」などです。
  「意外に簡単そうだからもう少し自分一人でやってみてから、
  若い人に相談しよう」などです。
  もしここで行き詰まりを感じていたら
  「少し休憩。明日、再チャレンジしよう」
  「明日、若いやつに質問しよう」でも
  「次の行動計画ができた」ということです。

5 計画したことをやってみましょう。
   「4」に沿ってあなたが更にYouTubeを見続けたり、
  翌日若い人に質問したりしたら、
  あなたはもうコルブのサイクルの2巡目に入っています。
  そう考えると簡単 ですよね。
  最近はこの一連のプロセス全体を「リフレクション」
  というようになっているようです。

 お気づきだと思いますがこういう体験をすることで
「コルブの学習サイクル」を回すことは簡単に体験的に理解できます。
これを毎日回し続けることで自分自身が変化することを感じるはずです。
それは「パワポに音声を入れることができない自分から
できる自分へ変化していく」というコンテントの変化と、
「計画書をつくらなくてもチャレンジして変化していくことができる」
というプロセスの変化に対する気づきです。
コルブはこのサイクルを回すことを「学習」と言い、
回し続けることを「成長」と言っています。
オンライン授業の作り方に挑戦しながら
「学び方」を変えるきっかけにもしてほしいものです。
[この項終わり]

(※1)「人事評価はもういらない 成果主義人事の限界(松丘啓司著/ファーストプレス)」

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