オンライン授業等の作り方(2)

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【授業研究】このテーマの第2回は「当日の進め方」です。対面授業(研修会)なら「だらだら講義をしない」「思い付きの(計画的ではない)昔話や自慢話をしない」「場の雰囲気を丁寧に観察する」などを意識します。これはオンラインでも同じことですが、私はオンラインではその上に以下に気を付けています。

1 事前視聴用動画の視聴回数等の分析を見ておく
   YouTubeのサービスは凄いものがあります。
   アップした動画を何人の人が見たか、
   平均何分見たか、延べ何回見たか、どの場面の視聴率が高いか‥
   などを表示してくれます。
   多くの人が見ていれば「質疑応答」だけで問題なさそうですが、
   そうでないなら進め方を考える必要があります。

2 スプレッドシートに無理のない範囲でコメントを入れておく。
   意欲的な人は動画を見てすぐに感想や質問を書いてきます。
   時間があれば「簡単なコメント」を入れておきます。
   これがあると次の人の意欲が高まります。
   ただ長くなる回答を書くのは面倒です。私はそれには、
   「当日、質問してください」と記入しておきます。

3 当日は改めて「進め方」を提示する。
   最近は多くの方が開始1~2分前に一斉にアクセスするようになりました。
   通信障害などで遅れる人もいるので開始を1~2分待つことも増えました。
   この間に画面共有で「進め方」を提示しておきます。
   「ブレイクアウトをすること」「質疑応答中心であること」
   「質問はコンパクトにしてほしいこと」「1問1答形式にすること」
   などを示しておきます。

4 動画を見てこなかった人を責めない。
   動画を見てこない人もいます。そのことを責めると雰囲気が悪くなります。
   「忙しいですからね」「思い付きの質問でも良いですよ」と対応します。
   「見てくればもっと学びになった。次は見てこよう」と
   思わせることを心がけます。

5 ブレイクアウトルームは覗きに行く。
   ブレイクアウトルームで「自己紹介・質問や感想の共有」をしてもらいます。
   この時講師は覗きに行くと良いです。カメラオフ・マイクオフでいきます。
   これにより気楽に話し合いを進めてくれます。
   話が止まっていたら「どうしました?」と質問します。
   声をかけられたらカメラとマイクをオンにして答えます。
   これは講師(授業者)にとって安心を得る効果があります。

6 メインルームで質疑応答の時のコツ
   最近の私はチャットルームに「質問があります」と
   書いてもらうことにしています。
   「質問」「?」「手」「✋」でも良いと思います。
   少人数なら質問した人をメモしておいて発言のない人に声掛けをします。
   人数が多い時はサポートしてもらってチェックします。
   質疑応答は「コンパクトな質問とコンパクトな回答」が命です。
   講師(授業者)が「コンパクトに回答」すると質問もコンパクトになります。

7 最後の5分間は「振り返り」に充てます。
   主催者側からアンケートもあります。
   それも含めて最後の5分は講師が黙ってアンケートと
   スプレッドシートに記入する時間にします。
   スプレッドシート記入は5分では終わりませんが、
   これをやると多くの方が講座終了後にそのまま書き込みます。
   他の人の振り返りも読みことで学びが深まります。

[この項続く]

※昨年秋から継続しているオンライン連続講座の案内は以下です。
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オンライン授業等のつくり方(1)

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【授業研究】あるオンライン研修会講師の際に、スプレッドシートに次のようなコメントをいただきました。

「この小林さんの講座は、
  オンラインワークショップの体験になることに気付きました。
   このやり方を再現すれば、私にも挑戦できそうな気がしてきました!」
 これはとてもうれしいコメントです。そこで少し丁寧に私のオンライン研修会の作り方や考え方を述べることにします。第1日「全体の構造」、第2日「当日の進め方」、第3日「動画の作り方」、第4日「体験から学ぶことの大事さ」。

 最も大事なのは私はICTのエキスパートではなく特別な学習をしたこともなく、特別な機材もソフトも使っていないことです。わからないことはほとんどネットで学びました。また研修会(授業)に臨むときに大事にしているのは以下です。「受講者(生徒・学生)の学びの質を高める」「授業者(講師)の負担を軽くする」「受講者と講師がともに成長する仕組みを作る」です。40代、50代、60代以上の方、大歓迎です。
 

 初日は私のオンライン講座の「構造・仕組み」です。次のような構造で作成しています。
1 事前視聴用動画を配信する。
  YouTubeに「限定公開」で配信するとURLを知っている人だけが視聴できます。
  また、そのYouTubeのコメント欄に以下を付けておきます。
  ・第1部〇分、第2部▢分などの案内。
  ・レジュメを格納してあるグーグルドライブのURL
        ・感想等を書き込むスプレッドシートのURL
        ・中で紹介している参考になる資料や動画のURL等
  こうしておくことで視聴する人の手助けになります。
   この仕組みにより当日「講義」の時間が不要になります。
  当日は質疑応答により学びを深めることができます。
   また視聴の仕方はそれぞれの方法でできます。分割視聴、早送りなど。
  いわゆる「個別最適化」の学びができます。動画の作り方は第3日です。

2 動画視聴後にスプレッドシートに記入してもらう。
  ・見た感想や質問を書いてもらう。
  ・時間があれば当日より前に回答コメントを書き込む。
       ・スプレッドシートは複数人が同時に書けるメリットがあります。
  ・お互いのコメントを見ることができるので気づきが深まります。
   これらの方法で「非同期学習」を「対話的に」深めることができます。

3 当日の進め方は事前動画で案内しておく。
  ・「あいさつ」
    →「ブレイクアウトルーム(自己紹介,感想共有,質問共有)」
       →「質疑応答」(長い時はこれを繰り返す)
    →「振り返り」(最後の5分は黙ってスプレッドシートに書く)

4 数日したら最後のコメントや感想、質問に回答する。

 この方法を私は昨年5月ごろから必要に迫られて始めました。やがて1年になるのでだいぶ慣れて楽になりました。基本姿勢は教室で行っていた授業と同じです。受講者(生徒・学生)が飽きないようにする、楽しく学べるようにする、労力少なくして効果が高くなるようにする‥別言するなら「生産性を高める」ことです。[この項続く]

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オンライン講座に登壇しました

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【授業研究】新しいイベントに呼んでいただき90分間の講座を担当しました。放課後タイムを入れると120分、その前の打合せを入れると150分間でした。その前に行われていたイベントの基調講演やパネルディスカッションも視聴していましたから、数時間このイベントに参加していたことになります。

 最近の私はオンラインが増えたものの、連続講座や継続支援している学校の人たちが相手なので比較的気楽です。そに比べると昨日はおおむね新しいメンバーだったので少々緊張しました。

 最近の私は事前視聴用動画とスプレッドシートが当たり前ですが、これはお付き合いが長くなった人たちにとっての「当たり前」です。そんなことは「初めて」の人も多かったようで、見ていない人も多く、事前のスプレッドシートへの書き込みも少ない状態でした。

 この状態は現在では慣れてきた人たちでも初めのころはこんな感じでしたから、それほど慌てることではないので、おおむねうまく対応できました。私にとっては「当たり前」の方法も、まだまだ「初めて」の人たちには新鮮な体験であり、戸惑うことが多いようです。他の講師の方は30~60分間の講義をしていましたから、この形が未だに基本形なのだろうと思います。

 登壇するリーダー的立場の人たちが事前視聴用動画・スプレッドシート、当日はグループワークと質疑応答を当たり前にしてくれれば、先生たちの授業も変わるのではないかと思います。

 そんな話をある人としていたらこんな意見も出てきました。「いやいや、研修会に参加する=講義を聞くこと、ととらえている人は多いよ。講義を聞くことが目的なんだから、そういう人たちの感覚は当分変わらないよ」。更に。

 「そうそう。それに学校の先生たちは〈講義をすること〉=〈授業をすること〉と考えているからね。講義をしてみんなを黙って聞かせるために教師になった人も多いから、なかなかなくならないと思うよ」という意見も。

 それぞれ一理あります。さてさて、世の中はどうなっていくことやら‥。

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面白い

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【授業研究】仲間内のゆる~い読書会でこの本を楽しんでいます。同じ著者による「具体と抽象」に続いてこの本を取り上げています。書いてあることは私にとって目新しいことではないのですが、整理ができることと具体例が豊富なので人に説明するときのヒントになります。

 最も楽しいことは、メンバーの体験や意見交換です。具体や抽象のとらえ方は人によって異なることを痛感します。物理学科の学生だった頃に、数学科のトポロジーの授業(数人しかいないゼミのような授業)に必要があって参加していました。この時に同じ教科書を理解しようとしているのに、物理科と数学科のアタマの中で描いていることが異なることがよくわかりました。

 純粋数学の分野の教授や4年生の学生は「抽象を抽象として直接理解する」のに対して、物理科の学生(私)や教授(物理科の教授も出席していました)は「抽象を具体を媒介にして理解しようとする」のです。抽象を抽象として理解する力に驚嘆し尊敬できるようになってきた体験でした。彼らは物理科が「具体と抽象を激しく行き来できる」のに驚いていたようです。

 これと似たようなことが今の読書会の中でも起きています。「〈具体と抽象〉を行き来する力が必要だ」とよく言われますが、その「具体的なあり方」は個性の違いや受けてきた訓練の違いにありそうです。そんなことを考えさせてくれる本です。これからの執筆の良いヒントにもなります。

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8時間眠れた!

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【授業研究】最近よく眠れるようになってきたので、もっと眠れるようにしたいとあれこれ試しています。過去には漢方・鍼灸・マッサージなどを試していたのですが、どれも一時的であることと、継続的にお金がかかることに抵抗がありました。もっと日常生活の改善で実現できないものか。

 もう1つの問題は「睡眠の分析方法」でした。自分の感覚だけではなく、客観的に測定・記録できないものか。これは1年前に知り、この半年くらい頻繁に使っているスマホの「睡眠アプリ」が役に立つことがわかりました。就寝から起床までの時刻の記録と、いびき、寝返りなどを計測して数値化してくれます。この数か月はほぼ毎日計測し続けています。

 やったことはそれほど面倒なことではないことに限定しました。睡眠リズム(時間)をできるだけ固定する、寝る直前に食べない、直前までPCに向かわない、軽い運動を継続する、湯船につかる‥などです。もう1つ、最近は部屋の湿度を40%以上に維持することも気を付けています。長続きすることをやろうということです。

 その結果、徐々によく眠れるようになってきました。朝目覚めの時に「ああ、よく寝た」と感じることが出てきました。この感覚は鍼灸治療以外では、10年くらいなかったような気がします。もう1つ気が付いたのは、耳鳴りが気にならなくなってきたことです。そして、先週から「8時間眠れた日」が2回。

 私は高校生のころから6時間程度で目が覚めていました。8時間以上眠るのは、空手の試合などで、ものすごく疲れた時くらいのことでした。50代になってからは、疲れていても途中で何回も目が覚めるのが常でした。これがすっきりしない原因にもなりました。最近の2回は「途中覚醒がない8時間」です。

 これらができるのはコロナ禍のおかげです。オンライン中心になったので移動時間、外泊が激減しました。オンラインの研修会や会議の合間に散歩することが可能になりました。時間に余裕が出たので、講義資料を作成するのにさほど追われることもなくなりました。これらのストレスが減ったことが大きな要因です。

 去年の3月4月は生活がどうなることかと青ざめました。リクエストに応えながらオンラインにチャレンジしたら楽しくなりました。色々なことに挑戦できました。できなかったことができるようになる楽しさもありました。その方面での仕事が広がってきたのもうれしいことです。気が付けば、もうすぐ4月。来年度に向けて頑張れそうです。

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久々のアクションラーニング・トレーニング

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【授業研究】久々にアクションラーニング・セッション(以下、ALセッション)のトレーニングをしました。日本アクションラーニング協会(https://www.jial.or.jp/)は定期的にコーチ養成講座を実施しています。この講座のお手伝いにコーチやシニアコーチ資格を持った人たちがボランティアで参加する仕組みがあります。これが良いトレーニングになり、復習にもなります。

 ただ平日昼間に行われることが多くなかなか参加するタイミングが合わず見送り続けてきました。昨日はたまたま直前に送られてきたメールに書いてあった時間が都合がよく、参加することとにしました。オンラインで行われていることも参加しやすい仕組みでした。

 ALセッションにはメンバーとして参加します。コーチは受講生。私のようなベテランから見ればぎこちなさや細かなミスも目立ちますが、それも良い勉強になります。指導陣がそれらに対する振り返りの指導をしたり講義をする内容もとても良い学習になります。

 終了後の雑談では、最近は学校の管理職や教育委員会の指導主事さんがALコーチ資格取得のための参加も増えているとのこと。「学校の先生たち向けに何かできませんかね?」との話に前向きになります。10年ほど前から何回か挑戦したのですが、なかなかうまくいきませんでした。「時代が早過ぎた」のかもしれません。今なら理解してくれる先生たちが増えている気もします。

 オンラインが当たり前になってきた時代なので、こういうことを考えるのにも敷居がたいぶ低くなりました。すでに大学生向けのコーチ養成講座は始まっています。いずれは高校の先生たち向けだけではなく、高校生向けにも講座を開けるのかもしれません。そうすると、授業改善の根本的な理論やスキルを丁寧に広げていくことができます。4月以降にやりたいことがまた1つ増えました。

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え?また?

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【授業研究】新しい動きに誘われてオンラインの会合に出かけました。そこで「え?あの小林さんですか?」と驚く人が。高校の先生が話してくれたことは‥

「私、小林さんの本を読んで授業を変えたんです」
「特にあのDVDの動画、最高でした。あれを見て、やろうと思ったんです」

 最近、「本読みました」と声かけてもらうことが続きます。去年の3月まで大学に在籍していた時までは、こんなことはほとんどなくなっていました。コロナ禍になったからか、オンラインが増えたからか、会う人の層が新しくなったからなのか‥原因はよくわからないのですが、うれしいことです。

 別のグループでは私の本の読書会が2つ動いています。その両者が合流する形でオンライン研修会をやることになっています。その準備をぼちぼち始めます。こんな動きもこの数年間なかったことです。

 実は何年か前にこんなことを考えたことがありました。いわゆる「アクティブラーニング・ブーム」の時にはあちこちでお祭りのようなイベントがたくさん開催されました。多くの人たちがそれに参加しました。私もあちこちに呼んでもらい登壇しました。全国のあちこちで登壇しているのに、そのあちこちで同じ人に出会うことが続きました。この現象に違和感がありました。やがてそれらの動きは沈静化してきた気がします。

 私はこれを第1波だと理解しました。それは「時代に動きに感度の良い人たちが動いた」ということです。この人たちは〈授業改善〉に興味があったのでなく、「今、注目されていることに敏感な人たち」だったのだろうと思います。今、その敏感な人たちは「探究」や「SDG's」などに動いている気がします。そんな中で新学習指導要領の動きに刺激を受けて〈授業改善〉に動き始めた人たちがいます。これが第2波です。

 この第2波の人たちは〈感度が良すぎる〉人たちではなく、文科の方針に沿って、或いは毎日の授業に真剣に向かい合いながら、本来の課題に目覚めつつある人たちだと思います。そしてこの人たちこそ、多数派になる可能性が高く、着実な動きに変化していく人たちなのではないかと思っています。

 その人たちが私の本をきちんと読んで、授業改善に進み始めているのなら、それはとてもうれしいことです。私が書いたことをきちんと読んで理解し実践に移してくれている気がします。大学から離れて2年目が始まろうとする今、色々な意味で新しい波を感じます。そういう人たちに会うことで力をもらいます。 

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