昔予想した通り?

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【授業研究】私が高校教諭を定年退職したのは2013年3月、翌2014年4月から大学で教え始めました。その直前の3月から某新聞に「アクティブラーニングが授業を変える」を連載していました。この年の11月の「新学習指導要領諮問」に「アクティブ・ラーニング」の文言が入り、「アクティブラーニング・ブーム」が起きました。

 2015年4月に連載をまとめて「アクティブラーニング入門(小林昭文著/産業能率大学出版部)」を上梓するといきなりベストセラーに。私は色々なイベントに呼ばれて登壇する毎日になってしまいました。イベントの後には当然、懇親会。二次会、三次会‥と続きます。「本当に日本の学校の授業が変わるかも‥」と思った瞬間もありました。‥しかし、私はその渦の中にいながら2016年には「違和感」を持ち始めていました。ただ、それを口にするのは周りの人たちに嫌われそうだということは予想できたので黙っていました。一部の信頼できる人たちにだけささやいていました。

 2017年の年末あたりにブログで少し書きました。それは地震に例えて、「今起きているのは初期微動」のようなものとしました。それは「反応の良い人」「反応の良すぎる人たち」‥当然少数の人たちです‥が起こしている波だと理解しました。この波を起こした人たちは「授業改善」に興味のある人たちではなく、「新しいもの」「自分の学びに興味のある人」「自分が注目されることに興味のある人」なのではないかと予想していました。

 そうではない「普通の先生たち」は「こんなに早く反応するわけがない」と分析していました。当時、文科省やその周辺に長くいる人たちにこんな質問をし続けていました。「諮問の段階で学校の授業が話題になり、変化をきたしたことはこれまでにあったのですか?」。返事は「いや、ない。特に高校では全くなかった。異常だよ」ばかりでした。私は自分の予想に自信を持ちました。

 その予想は「初期微動のあとにくる主要動こそ多くの人たちの動きになる」でした。その時期は「新学習指導要領の実施年になってからだろう」と予想しました。今、その時の予想が実現しつつある気がします。オンライン講座などで会う人たちは、昔のイベントで出会ったエネルギッシュで遠くのイベントにも次々に参加するような人たちとは明らかに違います。学校の仕事に埋没している人、でも新学習指導要領実施の中で授業改善をしなくては‥でもどうやっていいかわからない‥という人たちです。年代も20代、30代の人たちが増えました。

 対面型の研修会がやりにくくなっているにも関わらず私の仕事が増加しているのもその動きが、単なる「第2の波」ではなく「主要動」であることを現している気がします。では、第1の波の人たちはどこへ行ったのか?多くの人たちは「アクティブラーニング」のあとは「ルーブリック」「パフォーマンス評価」、「探究」「SDG's」「地域再生」などに力を入れているように見えます。あの時の動きは「授業改善への興味」ではなく、「新しいものへの興味」だったのだなあとの確信が強まっています。もちろんそういう「反応の良い人たち」は必要です。そういう人たちが文科省の新しい動きを支援している側面も大きいからです。

 でも私の対象はそういう「一部の先生たち」ではありません。「普通の先生たち」「大多数の先生たち」です。雑誌やテレビに出演する先生たちでもなく、色々な研修会に参加しまくる先生たちでもなく、その時々の流行りに敏感に反応して動きを変える先生たちでもなく、教育委員会に表彰されたり内地留学で大学院にいかせてもらえる先生たちでもありません。「フツーの先生たち」の支援をしたいのです。でも、その「フツーの先生たち」こそ「大多数の教師」であり「学校教育の全て」を支える人たちなのだと思っています。その人たちに会う機会が今年度はどんどん増えそうです。昔の予想通りの変化が起きてきて、私がやりたいことがやれる時期になってきたと言えそうです。

 以下は昔のブログ記事です。
次の本と「第2の波」? - 授業研究AL&AL
「第2の波」より「主要動」? - 授業研究AL&AL
個人的な取組みから組織へ? - 授業研究AL&AL

※昨年秋から継続しているオンライン連続講座の案内は以下です。
◎「みんなのオンライン職員室」はこちら→ https://minnano.online/
◎「Find!アクティブラーナー社」はこちら→https://find-activelearning.com/
◎「アクティブラーニング入門3(小林昭文著/産業能率大学出版部)」は
  こちら→https://www.amazon.co.jp/dp/4382057744/