カウンセリング・トレーニングにも使える?

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【授業研究】昨日(2021/4/10)の記事に書いたオンライン講座(小林昭文授業改善ゼミ)での新しい方式は、すでに第3回に向けての面接動画を受講者の皆さん向けにアップしてあります。第2回はすでに終わっています。この第2回に問題提示をしていただいたFさんから、別件でメールがありました。ついでに第3回用動画を視聴した感想と気づきが書いてありました。その内容が私にとっては大きな発見につながりました。

 Fさんの1通目のメールの中の部分です。
「第2回の(自分が出ている)動画を視るのはドキドキでした」
「自分が同じことを話している気がしました」
「第3回の動画も自分の動画ではないけど、ドキドキしながら視ました」
「視聴してみて、
 『今、この方は何を話しているのだろうか』
  を意識しながら話が整理できるようになってきたことを感じました」

 他人の動画を「ドキドキしながら視た」というのはたぶん、
「何を話すのだろう?今、この人はどんな気持ちなのだろう?」
などと、注意深く相手(問題提示者)の話を聴いていたということです。
私が雑談の時と、相談室で話を聴くときの違いのようなものだと理解しました。

 Fさんのこの部分に「これは大きな発見ですね。
第3回の講座でこの話を紹介しますね」と返信しました。
すると更に返事が来ました。

「さっきの部分を書いたことで、
『今まで自分がどうやって人の話を聞いていたのか』
にも気づくことができました。
今まで私は、人の話を聞く時、
『これはこういうことかな』とか
『前にも似たようなことで悩んでいた人がいたな』とか、
『これは、ここが問題だな』など、
自分の経験や考えを通して、
その人の話を理解しようとしていました。
それが「人の話を理解する」ということだと思っていました。
この話の聴き方は
〈その人のことを自分の枠に当てはめようとしていたこと〉
だと気づけたことも収穫でした」

このFさんの気づきは驚きです。
カウンセリング・トレーニングで言えば、
〈カウンセラーが自分の思考枠の中で解釈している〉
ことに気が付いたということです。
それは動画の中で問題提示者が話している内容について、
面談相手の私が「それはどんな意味ですか?」などと質問して、
提示者が回答した内容がFさんの予想と違っていたということが、
起きたのだと思います。

私が受けてきたトレーニングの1つは最初は面接の形を練習し、
傾聴トレーニング(黙って聴く)、
受容トレーニング(うなずくなど)などの練習を延々やります。
だいぶ先になってから面接を録音し、逐語記録を書き起こし、
それを分析します。
このあたりになってようやく面接中のカウンセラーとしての自分自身が、
どこでクライアントの話を誤解していたか、
などに気が付くようになります。

私がこの動画を用いてやろうとしていたことは、
単に講座の時間節約のためでした。
しかし、こんなことが起きるのなら、
これをもっと効果的に構成することができそうです。
「対話のトレーニング」としてもできそうですし、
カウンセリング・トレーニングの方法としてもできそうです。
オンラインの方が「できる」ことにもなりそうです。
6月にカウンセリング研修も講師もあります。
そこでも試してみたいと思います。

新しいことを思いつくと楽しくなります。
この講座自体の進め方も更に深めることができそうです。

※昨年秋から継続しているオンライン連続講座の案内は以下です。
◎「みんなのオンライン職員室」はこちら→ https://minnano.online/
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