バカロレアの試験‥

【授業研究】最近、フランス在住の皆さんと色々な学習会をしています。私が講師になることもあれば、一緒に学ぶこともあります。雑談をしていることもあります。その雑談の中での面白い発見がありました。

 それはバカロレアの試験の話です。発祥の地であるフランスでは高校卒業の認定試験や大学入試のための試験はバカロレアが中心のようです。どんな試験なのかという話で出てきたのは次のような話です。

・問題文は短い。
・1つのテーマについて考えさせて書かせる問題。
・単語や年号を覚えていれば解ける問題ではない。

・制限時間も長い。2~3時間はざらにある。

 それらを聞いていて思い出したのは私が大学物理学科で受けていた定期試験です。それとほぼ同様か、それ以上に先進的な方式でした。以下のような方法でした。

 試験開始時刻、13:30ごろに学生は教室に集まります。学年40人の物理学科ですから、どの試験も受験者数は20~30人程度です。maxで40名です。先生もだいたいそのころに教室にやってきます。試験ですら、時間が曖昧だったのも素晴らしいことでした。

 入室した先生は試験問題を板書するか、問題を書いた紙を黒板に貼ります。内容は1~2題なのでそれで済みます。この試験内容はバカロレアと同じです。覚えて書ける問題はありません。自分なりの見解を示すことを求められます。

 全員が問題を確認すると‥これからがすごいことが始まります。先生が「締切、何時にしますか?」と質問します。学生が口々に意見を言います。「17時」「いやあ、18時」「もっと時間かかるよ。21時は?」「俺は22時でもいいよ」‥

 先生が言います。「うーん、22時は勘弁。バスがなくなる」。「じゃあ21時かな」「先生に悪いよ20時くらいにしようよ」「OK。じゃ、20時だな」「OK」「いいよ」「先生、決まりました~」。

 「じゃ、頑張ってください」と言うと先生は教室を出てしまいます。残った学生も大半は教室を出ます。図書館に行く奴、喫茶店に行く奴、数人で取組む奴ら、1人でやる奴‥。何を調べてもその通りに書けばよい問題ではないので、みんな真剣に取り組みます。グループでやっていても自分のレポートを書きます。写す奴なんかいません。

 提出することにはヘトヘトになっていました。それほど集中していました。今から50年以上前の話です。私は良い大学教育を受けていたのだと、改めて実感しました。

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