質問スキルのトレーニング方法

【授業研究】長い間、質問スキル向上のシステムを作りたいと考え続けていました。ヒントは「リンキンボム」「クリティカルフレンド」「アクションラーニング」です。この3つをうまく組み合わせれば何とかなりそうだと感じていました。ただ、実験する機会がありませんでした。その機会が訪れて一歩進みました。

 実験に協力してくれたのは主にフランス在住の日本語教師の皆さんです。コロナ禍の中で知り合い、オンライン研修会講師を務めたことが契機になって、一緒に勉強会などを続けています。その中で私の考えに興味を持って「質問スキルのトレーニングをやって欲しい」ということになりました。

 以下はオンラインで2週続けたトレーニングの概要です。各回は約2時間です。第1週は「リンキンボム」。やり方だけ説明してやってもらうとスラスラ進みますがあまり深まりません。さほどの気づきも起きません。雑談的な流れにもなりがちです。

 そこで質問の種類を説明して再挑戦。すると「質問を変えると内容が変わる」という声が出てきます。「短時間で繰り返しできるのが良い」という声も聞こえてきます。「質問を変えると答えが変わる」という気づきを得ることは第1回の大きな目標と言えそうです。

 2週間後の第2回の前に興味深いことが起きました。グループで使っているSNS上で「リンキンボム」は「書いては出来ないの?」と思いついた人がいました。実際に始まりました。これは私も気が付きませんでした。これはトレーニングの補助として使えそうです。

 第2回の冒頭では、いくつかの新しい留意点を追加して「リンキンボム」をやります。前回と異なり「深い気づき」が起きます。メンバーが涙ぐむように見えた瞬間もありました。皆さんの「質問スキル」が向上し、自問自答する力や気づく力も向上したと感じました。

 そこで後半は「クリティカルフレンド」に挑戦しました。「何か困っていることを話してください」から始まります。それに対して「質問だけをしてください」と指示します。問題を出した人の気づきが積み重なります。

 20分くらいで私が介入します。問題を提示した人に「気づいたこと」「やろうと思ったこと」を述べてもらいます。最初に問題を提示した時とはかなり変化した新しい気づきと行動計画が語られました。それから振り返りをして終了。

 2週間、2回、オンラインで上記のトレーニングができました。これに繋げて「アクションラーニング」をやればスムーズにスキルトレーニングができそうです。秋にある組織内で実践しようとしているチャレンジにも使えそうです。

 長年モヤモヤしていたことがようやく解消しそうです。ワクワクしています。尚、「リンキンボム」は聞きなれない方が多いと思います。出典は「「教師力×学校力」ダイナミック変革への実践本(河北隆子・脇經郎著/明治図書)」です。

 この本以外に「リンキンボム」は出てこないので不思議に思っていました。そこでご本人に久々にメッセージを送りました。「もしかしたら発明者は河北さんなの?」。返事は「はい、私が発明者です」でした。 

https://www.meijitosho.co.jp/detail/4-18-233616-X

「教師力×学校力」ダイナミック変革への実践本

◎「アクティブラーニング入門3(小林昭文著/産業能率大学出版部)」は
  こちら→https://www.amazon.co.jp/dp/4382057744/
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