「手書きでないとダメなんですよ」

【授業研究】先週、専門学校の授業を見学しました。来月、この学校の研修会講師を引き受けているからです。多くの「普段の授業」を見学させてもらいました。その中に、数年前に講師を務めた時に意気投合して色々な話をしたC先生がいました。

 コンピュータ・デザインの3年制コースの中で「3D動画卒業制作」の授業でした。卒業間近の学生さんたちが、PCに向かって真剣に作業をしています。

 「小林さん、久しぶり!元気ですか?」と声をかけてくれました。「授業中だけど話してよいですか?」「全然、大丈夫ですよ。彼らはもう1人でできますから」‥ということで、指導方法などを色々と聞いていました。その中でとても気になる話を聴きました。

 3年生の動画制作の記録のために貼ってあるキャラクター・デザインなどを見ているととてもきれいです。もう、すぐにでも映画製作ができるのではないかと思うほどです。「すごいなあ。こんなにみんながきれいに書けるのですねぇ~」というと、

「小林さん、面白いものを見せますよ」と別室につれて行ってくれます。

その教室にはさっきと同様に学生たちの作品が掲示してあります。

「これは2年生の作品です。見てください。違和感ありませんか?」

「うん?」‥どれもきれいにできています。3年生の作品と遜色ないように見えるのですが‥‥眺め続けているうちに気が付きました。

「あれ?このキャラクターの左右の手の太さは少しおかしい?」

「あ、この人物の上半身と下半身の向きは不自然な気がしますね」

 「そうですよね。これが2年生なんです。これを自然に見えるように描けないとダメなんですよ。さっきの学生たちも去年はこんなものだったんですけど、1年かけてうまくなったということなんです」とのこと。

 となると私の疑問はその練習方法です。

「どうんな練習や指導をするのですか?」

「手書きです」

「え?手書き?PCで描く絵の腕を上げるために手書き?」

「はい、何度も手書きで書かせます。それを見ながら違和感を指摘します。テクニックも教えます。その繰り返しで違和感のない絵が描けるようになります。そうすると、PCでもきちんと描けるようになるのです」

「手書きでないとだめなの?」

「はい、なぜかはわからないのですけど、手書きでないとダメなんです」

 これは大きなヒントになりました。スマホの害を指摘する本でも指先で画面に書くことと鉛筆で書くことの違いを指摘しています。タイプで書く文章とペンで書く文章の違いを指摘する人もいます。自分自身でも、それを感じることがあります。

 文章力を鍛えるためにも「手書きが必要なのではないか」と薄々感じているところでした。最近は、時々、原稿用に万年筆でブログのレジュメを書いています。研修会の構想を考える時もノートに手書きで書いて考え、書き足しながら修正しています。

 絵(PC制作動画なども含めて)の腕を上げるためにも、文章力を鍛えるためにも、「手書きが不可欠」なのかもしれません。良い話を聴きました。自分が薄々感じていることを、明確に指摘してくれた気がします。次の本は「原稿用紙と万年筆で書いてみよう」と思い始めました。

◎「アクティブラーニング入門3(小林昭文著/産業能率大学出版部)は

f:id:a2011:20190822064657p:plain

小林のHPはこちら。研修会講師のご依頼もこちらからどうぞ。

  →http://al-and-al.co.jp