「MLT、やりたいですね」

【授業研究】少し前のことです。ある学校に研修会で伺ったときに拙著を持参してきた方がいました。「アクティブラーニングを支えるカウンセリング24の基本スキル(小林昭文著/ほんの森出版)」です。周りの人に「この本とっても良いですよ。おススメです」と紹介し、「サインしてください」と差し出されました。

 そこで話をすると「私も上智大学カウンセリング研究所で2年間学びました」とのこと。「え、いつごろですか?」

「平成4,5年ごろです」

「え、私とほぼ一緒ですね。先生はだれでしたか?」

「〇〇先生や▢▢先生‥」

「おー、私もその先生たちに教えてもらいました」

「そうなんですね。うれしいです」

「ということはMLTやりましたよね」

「もちろん。とても良いトレーニングでした」

「ですよね。古い仲間とMLTを復活させたいと思っているのですよ」

「賛成です。私も先生たちのトレーニングに最適だと思います」‥

と2人で盛り上がってしまいました。

 MLTとはマイクロ・ラボラトリー・トレーニング(Micro Laboratory Training)

の略です。上智大学カウンセリング研究所の創設者=小林純一氏が発明したカウンセラー養成のためのグループトレーニング方法です。このトレーニングは「個人の変化を見るトレーニング」と「場(グループ)の変化を見るトレーニング」が組み合わされています。同時に「場(グループ)の雰囲気を意識的に感じる」ことにもなります。

 最近、推奨されている授業では授業中にグループワークを多用することが多いのですが、授業者は生徒たちのそれぞれのグループの変化を把握することがなかなかできません。更には「自分自身も含めて教室全体の雰囲気」を把握することもできません。

 以前に、私が模擬授業を授業者として実践した時に、すでに模擬授業を体験した人や、新しい授業に習熟している人たちには外から見学してもらって各グループの変化を意識的に見てもらうことをやってもらいました。すると、十数人の見学者のうちその変化を読み取れた人は2人だけでした。あとで聞くと、その2人は2人ともカウンセラーとしてのトレーニングを経験してきた人たちでした。

 このことは長く私の気持ちにひっかかっています。それは「場を見る」「場を感じる」というのは個人の特性ではなく、トレーニングでできるということです。私自身は空手の試合の中でもこれができるようになっていましたが、これも名人達人の記録を読むと、それらの人たちはこれができていたと類推できる記述があります。これも長年のトレーニングの結果です。(ついでに言うと「U理論」でも似たようなことに触れています)

 それなので、授業力育成のトレーニングとしてMLTを使いたいという気持ちが数年前から沸き起こっています。昔の仲間とも時々話しています。しかし、上智大学カウンセリング研究所の講座はすでに終了しているし、あのころ指導してくれていた先生たちも鬼籍に入られたり、ご高齢になったりしています。

 そんな中でMLTの経験者にお会いできたことはうれしいことです。何か新しいことにつながりそうな予感があります。MLTをご存じで復活させたいと考えている方がいらっしゃったら、連絡くださいませ。

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