振り返り」の効果を裏付ける?(4)

【授業研究】「その「もの忘れ」はスマホ認知症だった(奥村歩著/青春新書/青春出版社)」の内容紹介を紹介しています。前頭前野の情報処理システムは次のように分類できます。

➀浅く考える部分―ワーキングメモリー
➁深く考える部分―前頭前野の熟考機能
➂ぼんやりと考える部分―デフォルトモード・ネットワーク

 このうち、「振り返り」の意義は➂の部分を刺激することにあると言えそうです。生徒・学生の様子を見ていても感じることと一致します。

 この本では後半にスマホから自分の脳を守るための行動をいくつも上げて紹介しています。「インプットよりアウトプットが大事」とも繰り返します。その中で気が付いたことは著者の「アウトプット」の定義です。後半p-178から以下のように述べています。

[引用開始] ここでアウトプットの大切さについて、改めて述べておきましょう。

 先にも述べたように、アウトプットとは、取り込んだ情報を自分のためや社会のために役立てていくこと。情報によって覚えたことや学んだことを自分の仕事や家事、趣味、自己実現、社会活動、ボランティアなどにうまく活かしていくことを指します。

 (中略)そもそも、私たち人間の活動は、必要なものを取り入れて力を身に付け、その力を自分が生きていくために役立てていくのが基本パターン。(中略)実際、どんな業界でも一線で活躍している人は、インプットしたことをしっかりアウトプットにつなげているものです。ビジネスたけでなく、スポーツ、趣味、習い事などでもそうだと思いますが、自分の力を発揮できている人は、「自分がやりたいこと」「成し遂げたいこと」「役に立ちたいこと」などのアウトプットのかたちがちゃんと見えていて、先々、自分がどんなアウトプットをするかを見据えて情報をインプットしているものなのです。

[引用終了]

 アウトプットを、頭に入れたことを「単純に出すこと(=声に出す、書く)」としてしまいがちな定義に比べると、なんと奥深いことか。まるで「総合的な探究の時間」の解説のようにも思えてしまいます。

 学生・生徒にこの「アウトプットの定義」を教えて授業を進めていこうと思いました。また、学校の先生たちの授業についても「説明=単純なアウトプット」ではなく、

「説明=深い意味でのアウトプット」と定義することで、「言いたいことを話す」「知っていることを時間いっぱい伝え続ける」ではないことを説明できそうです。

 色々な意味で刺激的で、今後の私の活動に役立ちそうな一冊になりました。[この項終了]

  

 

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