リーダーシップを発揮すると授業改善運動が低迷する?(2)

【授業改善】昨日の続きです。校内でいち早く授業改善を始めたA先生は、元々、学校外で行われたセミナーで刺激を受けて始めていました。そこで更に情報を取り入れて授業改善を進めるべく、このようなセミナー等に頻繁に出席します。
 そこに行くと同様の実践をしている仲間がたくさんいます。本を書いている人、研修会講師で人気のある人、それらを支えている出版社、研修会を開いている会社、雑誌等の編集者・記者などがたくさんいます。そこで話に入っているうちにA先生の実践が雑誌等やオンラインサイトに取り上げられます。他校や他の地域から研修会講師に呼んでもらうことが増えてきます。
 このA先生の活動を校内の人たちは歓迎しません。陰口が広がります。そのうち、校長から「取材を受けるな、マスコミを校内に入れるな、研修会講師で出かけるな」と規制されます。A先生は「校外で受ける取材ならいいだろう」「休暇を取って出かけるなら文句ないだろ」と反論します。ますます、校内での対立が激化します。これを見ていた同僚たちは授業改善に及び腰になります。
 ついでに。A先生と同様にセミナー等で知り合った他の先生たちも、研修会講師に呼ばれて活躍し、雑誌等に取り上げられて評価が高まります。セミナー等に集まる度に互いをほめあい、時には自慢話もします。A先生が校長に規制されたという話を聞いてみんな憤慨します。ところが、そのうちに他の先生も校長や教育委員会に規制されたという話が出てきます。セミナーなど集まる先生たちはこの話を聞いて2つに分かれます。片方は「どんな抵抗があっても俺たちは頑張るぞ!」という人たち。もう片方は「そんなことにはなりたくない‥」とこの運動から遠ざかり始める人たち。
 この例では、いち早く実践を始め、社会的にも評価を受けていた先生たち、つまりリーダーシップを発揮していたと思われる人たちが、運動を低迷させることになってしまいます。
 ‥‥最近、とても気になっていることです。