先生の意識に生徒は反応する

先生の意識に生徒は反応する
【授業研究】研究授業がイベント型の授業になりがちだという話をしている時に出てきた話や私が思い出した話4つほど。
 1つは、研究授業を見学していたら始まるときに生徒が先生に「先生、本番ですね」と声をかけたという話。まさか、リハーサルをしていたわけではないと思うのですが、少し前から先生が「来週は研究授業でたくさん人が見に来るんだよ」なんて話をしていたのでしょう。生徒たちは、その先生の緊張を敏感に感じるのです。
 2つめ。これは私の体験。ある研究授業を見に行った時のこと。終わってからもしばらく教室に残っていたら、ほとんどの見学者が外に出て行ったあとに生徒たちは授業者=担任のそばに集まりました。「先生、どうだったうまくできたよね」「うん、みんなすごく頑張ってくれたと思う」「最後のA君の意見、よかったでしょ」「うんうん。すごいよね。びっくりしたし、いい授業になったと思うよ。ありがとね」「あれね、みんなで話し合って考えたんだよ。それでA君に言ってもらうことにしていたんだ」‥‥生徒たちに悪気はないんです。担任が恥をかかないように、一生懸命なんです。でも、普段の授業じゃないってことなんですよねぇ〜。
 3つめ。これも私の体験。小学校の授業を見ていた時のこと。どうみても子どもたちが緊張でガチガチ。「そんなクラスなのかな?」と思って、授業終了後も廊下から観察。「帰りの会」になると打って変わって子どもたちは元気で活発。「やっぱり緊張していたのかな」と思って職員室に戻りました。その途中で、そのクラスの子どもとばったり出会ったので、質問しました。「さっきの授業中はどうだったの?」「すっげー、キンチョーした〜」「へー、どうして?」「だって、担任の先生が前から『今日は偉い先生が授業見学に来るからドキドキなんだ』って言っていたんだもの」とのこと。先生の言動に子どもたちは敏感です。
 4つめ。ある先生の昔話。「私が説明するのに苦手分野があって、そこを授業で取り上げるときに、とても緊張して丁寧に説明したんです。そしたら、テストの時に『あそこはテストに出るから先生が力を入れて説明しているんだと思ったのに〜。出てなくてガッカリ』と言ったんですよ。私の緊張感が伝わっていたんですよね」
 越ケ谷高校に勤務していたころに、私の授業を見学にくる先生たちがかなりいました。おかげで、私も生徒たちも慣れてしまいました。私も見学者する人のために、いつもと違った授業をやってはいけないと思っていたので、いつもと同じ授業を、いつもと同じ態度でやっていたつもりです。生徒たちはいつもと同じようにリラックスして(だらしなく?)授業に参加していました。見学に来た人がカメラを回そうが、話しかけようが、悠々としていました。あんな感じに研究授業ができるといいんだけどなあ‥と思ってしまいます。