「授業は見ているだけでは面白くありませんでした」

【授業研究】私はしばしば高校に研修会講師として出かけて、直接、生徒に向けて物理の授業をやらせてもらうことがあります。それを先生達が見てくれることもあります。先日、某高校でそれをやったときに授業を見学した先生の感想です。色々考えるヒントになったので取り上げます。以下のように続きます。
「授業は見ているだけでは面白くありませんでした。作業は生徒が行っており、内容が見えなかったからだと思います。やっているのは生徒だと言うことなのでしょう」
 生徒達の状況は私の目からはとても良かったと言えるものでした。約40名の生徒達は課題に積極的に取り組みました。席は指定してあったのですが1人の生徒は自主的に席を移動して友達と相談しています。4〜5人の生徒は課題がわからなくて当初停滞しましたが、同じチームの友達の支援によって課題の4題を終わらせていました。感想も「面白かった」「よくわかった」「もっと知りたくなった」などと肯定的なものばかりでした。
 それでも、その授業に対するこの先生の感想は「その通り!」なのです。見学していた先生達にとっては少しも面白くなかったのです。一般的に「良い授業」は「外野から見ている人たちにとっても楽しい授業」ということなのかも知れません。
   しかし、大事なことは「生徒にとって楽しくて役に立つ授業」であるかどうかです。私は見学者のために重点を置いて授業をやったことはありません。「楽しい授業」「良い授業」は生徒達がそう感じることだと思っています。それ故、これを見学している先生達に、充分な事前説明なしに、「見て」理解してもらうのは困難なのだと、改めて感じたコメントでした。
 研修の一環としての「授業観察」を有効にするためには、「授業観察の視点を明確にする」、「生徒に質問する」、「生徒の感想などを手がかりにする」、「授業担当者がグループに介入する時の生徒とのやりとりがわかるようにする」‥などの工夫が必要だと感じました。