大人の特性は学校教育がつくりだしている…

【授業研究】「反省させると犯罪者になります(岡本茂樹著/新潮新書)」に書いてあることを2回にわたって述べてきました。3回目は私の解釈です。ピーター・センゲが「学習する組織」の前文に書いたこととの関連です。
 センゲはデミングを引用しながらビジネス社会における問題は学校教育を変えなくては改善できないと述べています。例えば、学校時代に担任の顔色を伺い続けた子供たちは会社に行けば上司の顔色を伺って仕事をする。顧客の利益は二の次になる、という具合です。
 世界中の大人達が持っている知識やスキルは学校で身に付いたものがほとんどです。その意味で工業化社会における学校の役割は大きく、不可欠です。しかし、同時に良くないことも学校で身につけてしまう部分も少なくないのです。
 「反省させると犯罪者になります(岡本茂樹著/新潮新書)」の内容も同様のことを示している気がします。「反省文」という方法が何をモデルにしてスタートしたか知りませんが、学校教育が一般化したことは想像できます。大人になるまでに一度も「反省文」を書いたことがない人はほとんどいないのではないでしょうか。
 それが会社でも行われているようです。ブラック企業の話にはしばしば登場します。また、家庭でも行われているようです。この本の中の事例にも出てきますし、私も教員として保護者から何度も聞いたことがあります。このように上司や保護者が「反省文」を書かせるという知恵は学校時代に教えてもらったことでしょう。
 その「反省文」を書かせることが、感情の抑圧になり、犯罪者を生むことになるのだとすれば、これは学校教育の大問題ということになります。学校の先生達はこの構造を知る必要があります。(この項終わり)