「授業者を傷つけない振り返り会」「見に来てくださいカード」etc

【私の研修プログラム3】Mさんが尽力して立ち上げた越ヶ谷高校授業研究委員会のミッションは「生徒の学習意欲を向上させ、学力向上を目指す」ことでした。とは言え、直接生徒に働きかけるのは進路指導部や生徒指導部の仕事です。委員会が働きかける対象は教師でした。つまり、授業改善ということになります。
 最初に取り組んだのは「まず委員が授業改善を目指す」でした。Mさんと私は同じ年度に転入してきてすぐに「新しい授業」に取り組んでいました。もう1人、同じ年度に初任者で来たNさんも「新しい授業」に挑戦していました。この3人が実践しつつ、他の数人の委員も一緒に挑戦し始めました。
 その時の原則は「無理をしない」「方法は問わない」「どの理論・流派も否定しない」でした。「方法は問わない」はワンウェイの授業でも、生徒の学習意欲が高まる授業なら良いということです。
 最初に委員会がアタマを痛めて、それがきっかけで大発明につながったのが「(授業者を傷つけない/参加者全員が気づきを得る)振り返り会」でした。これは委員会が実施する研究授業+振り返り会で、「授業者をつるし上げる」ことになったら、そのあと続かないよ、という議論から始まりました。それに代わる振り返り法はないのかとかなり調べたのですが、私たちは探し当てることができませんでした。それで、いくつかの理論を参考にしながら独自に編み出しスクリプトにまで具体化したのが、この方式でした。この方法を私は現在でも研修会講師に呼んでいただいた学校に紹介し続けていますが、とても好評です。
 次に授業研究委員会が取り組んだのは「授業研究週間の活性化」でした。教師同士が互いの授業を見ましょう、という週間ですが有名無実化していました。これを活性化するために編み出したのが「見に来てくださいカード」でした。「いつでも見に行っていい」は「かえって見に行きにくい」という気づきから、「授業者が『見に来て』と言っている授業」なら見やすいだろうとの発想でした。これも成功。2週間に1人平均1回以上の見学回数となりました。その時、見学用ワークシートも合わせて開発。この研究は今でも私の中では進化し続けています。
 ざっとですが、私が研修会講師として「プログラム開発」をする時の基本方針の1つとして、「授業研究委員会での実践を基礎にする」書ときましたが、その委員会の紹介でした。改めて、Mさんには感謝を述べます。ありがとうございました。
 この委員会活動はある懸賞論文に応募して助成金を獲得しました。その時の論文をアップしておきます。少々長いですが、お読みいただけるとありがたいです。(この項続く)
授業研究委員会の活動.pdf 直