「振り返り」の効果を裏付ける?(2)

【授業研究】「その「もの忘れ」はスマホ認知症だった(奥村歩著/青春新書/青春出版社)」の内容紹介の続きです。前頭前野の情報処理システムは次のように分類できます。

➀浅く考える部分―ワーキングメモリー
➁深く考える部分―前頭前野の熟考機能
➂ぼんやりと考える部分―デフォルトモード・ネットワーク

 スマホを日常的に使い続けるということは➀の「浅く考える」ことを続けることであり、そのことでありワーキングメモリーの処理能力がパンクしてしまいます。これにより現象する症状は前回紹介しました。

 次の問題は➀の部分を使いすぎることで②の部分を使わなくなるということです。前頭前野は脳全体のコントロールタワーであるために、その中心的な機能が低下すると日常の脳活動に幅広い影響が表れるようになります。

(h)思考力・判断力が低下する。

 論理的に考えたり文章にまとめたり解決の筋道を模索する力が低下する。

 判断力も低下し、自分の状況把握や自分にとってより良い選択をする力も低下。

 これらの力が低下すると「こんな長い時間スマホをやってよいのか」という

 判断力も低下します。

(i)集中力が低下する。

 何かしていても他のことに気をとられる。スマホのことが気になる。

 仕事や勉強に支障が出る。

(j)意欲が低下する。

 スマホやパソコン以外のことにやる気を失う。

 「インプットが大量なのにアウトプットは極点に少ない」

 というアンバランスがますます進む。

(k)創造力・企画力が低下する。

 前頭前野はひらめきやアイデアを創出することにも関わっているので、

 ここがくたびれることで「工夫しよう」「新しいものをつくろう」という

 考えが浮かばなくなっていく。

(l)コミュニケーション力が低下

 他人を思いやる、他人の立場を尊重する力が低下。思うように言葉が出なくなる。

 他人の言葉を受け止められなくなる。

(m)感情コントロール力が低下する

 急に切れたり、些細なことで泣き出す。ちよっとしたことで深く傷いて落ち込み、

 うつ病に発展しやすくなる。

(n)遂行実行能力が低下する。

 仕事や家事、買い物・旅行などを予定通り進めることができなくなる。

 料理を手順通りに作れなくなる。

 

 そして、最も重要で、私が興味を引かれたのは➂の働きです。これは次回触れることにします。[この項続く]

 

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